2014 Fiscal Year Annual Research Report
共感する脳:2個体同時脳機能計測-共感の個人差からアスペルガー症候群へ
Project/Area Number |
24591698
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
北村 秀明 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (00361923)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯島 淳彦 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (00377186)
遠藤 太郎 新潟大学, 医歯学系, 助教 (70515759) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 自閉症 / アスペルガー障害 / 共感 / 前頭皮質 / 近赤外光スペクトロスコピー |
Outline of Annual Research Achievements |
目的:人の共感機能をそれが発揮されている現実の対人世界で測定・評価する、機能的近赤外光スペクトロスコピー(Dual-fNIRS)の測定系を開発し、アスペルガー症候群やその傾向の強い個人に適用することで、その病態や共感の個人差の解明に迫る。 対象:広汎性発達障害患者(DSM-IV-TRで診断された自閉症、アスペルガー障害、特定不能の広汎性発達障害、ただしてんかんの併存など、器質的要因のある患者は除いた)と、定型発達対照者(患者群と性別と年齢をマッチさせた)からデータを収集した。 方法:携帯型・無線通信内臓のNIRS装置を2人の被験者に同時に装着し、生態学的に自然な対人状況で共感授受と相互作用に関連する脳活動の動態解析を行った。課題は東日本大震災の被災状況やその時の感情をお互いに語り合うもので、関心領域の吻側前頭前野皮質(RoPFC)を、両半球10個の近赤外光プローブで測定した。 解析:Raw dataを計測ソフトウェアからCSV形式でエクスポートし、その時系列データにトレンド補正、円滑化等の前処理を施した後、課題負荷によるOxyHbの変化量を統計解析した。 結果:うなずきやジェスチャーに対する教示を十分行い、実験補助者を被験者近傍に配置することで被験者の頭部動揺を最小限に抑制することができた。関連が最も明確であった変数は5因子モデルの性格特性で、対照者では内側RoPFCの増加量は協調性と勤勉性の向社会的特性と正相関した。一方、ペアの一人が患者の場合は内側RoPFCのOxyHb増加量が少なく、協調性や勤勉性との相関が認められなかった。 考察:非対人状況下での流暢性課題では、対照と患者にOxyHb増加量の差を認めなかったことは、ヒトの社会認知研究におけるDual-NIRSパラダイムの有用性を示唆していると思われた。
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Research Products
(4 results)