2014 Fiscal Year Annual Research Report
認知矯正療法の効果に関する神経機能画像を用いた研究
Project/Area Number |
24591712
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
兼子 幸一 鳥取大学, 医学部, 教授 (50194907)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 統合失調症 / 認知機能障害 / 認知リハビリテーション / 神経可塑性 / 光トポグラフィー検査 / 背外側前頭前皮質 |
Outline of Annual Research Achievements |
1)平成26年度の研究成果 6ヵ月間の認知矯正療法(NEAR)を統合失調症患者(N=13)に実施した前後で、語頭音による語流暢性課題中の光トポグラフィー(NIRS)信号を測定した。作業記憶課題の場合と対照的に,右前頭極部、左腹外側前頭前皮質領域でNIRS信号は、NEAR後に有意に減少した(p<0.05)。また、群×時間の交互作用は有意でなかった。この事実は,NEARがもたらす脳の可塑的変化は、課題に依存してダイナミックな特性をもつことが示唆された。 2)研究期間全体の研究成果のまとめ 異なる2つの認知課題に関連する脳血液量について、神経認知機能の認知矯正療法NEAR(6ヵ月間)の施行前後の変化ををNIRSで測定した。作業記憶課題に関連するNIRS信号は、両側背外側前頭前野、左腹外側前頭前野、右前頭極部(BA 10野)で有意に増加した(paired t-test.p<0.005~0.05)。また,反復測定分散分析の結果、群×時間の有意な交互作用(p<0.03)が認められた。課題の負荷がより高い作業記憶課題ではNEAR実施後に脳血液量の変化のサイズが大きくなり,しかも健常者で作業記憶と関係することが実証されている背外側前頭前皮質皮質を含む領域での変化であり、認知リハビリテーションNEARが統合失調症でみられる作業記憶の障害を“ノーマライズ”する可能性が示唆された。さらに、BACS-Jで評価した言語記憶と語流暢性の改善度と右半球の大脳皮質領域でのNEAR前後の脳血液量変化と正の相関を示したことから、NEARに拠る脳機能の改善が認知機能の改善の基盤となった可能性が明らかになった。これに対して、語流暢課題に関連する脳血液量はNEAR語に減少傾向を示した。 以上の2つの認知課題を用いた結果から、NEARは統合失調症において、課題依存性のダイナミックな神経可塑的変化をもたらす可能性が示された。
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article] New instrument for measuring multiple domains of social cognition: construct validity of the social cognition screening questionnaire (Japanese version)2014
Author(s)
Ayako Kanie, Kumiko Hagiya, Sayaka Ashida, Shenghong Pu, Koichi Kaneko, Tamiko Mogami, Sachie Oshima, Maki Motoya, Shin-ichi Niwa, Akiko Inagaki, Emi Ikebuchi, Akiko Kikuchi, Syudo Yamasaki, Kazuhiko Iwata, David L Roberts, Kazuyuki Nakagome
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Journal Title
Psychiatry and Clinical Neurosciences
Volume: 68
Pages: 701-711
DOI
Peer Reviewed
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