2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24591721
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
橋岡 禎征 島根大学, 医学部, 講師 (00622523)
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Keywords | 国際研究者交流 / カナダ |
Research Abstract |
アストロサイトの様々な機能発現において、細胞内Caシグナリングが重要な役割を果たしていることが知られている。また内因性のP2プリン受容体アゴニストであるATPは、ミクログリアを活性化させ、炎症毒性を引き起こすことが報告されている。そこで我々は、ATP、3′-O-(4-benzoyl)benzoyl-ATP (Bz-ATP)を用いて、成人ヒト初代培養アストロサイトにおけるP2プリン受容体活性化による細胞内Caシグナリングの特徴を蛍光分光測定法で調べた。 ATPで刺激したヒトアストロサイトは、既に他細胞で報告されている、P2Y受容体が活性された際に呈する2相性の波形を呈した。この内、第2相を形成する細胞内Ca濃度の遅延減衰は、Caを含まない生理食塩水で実験した際、およびガドリニウムを投与した際には認められなかったため、このCaシグナリングの第2相は、細胞外Caの流入、およびstore-operated channelの活性化によるものと考えられた。 P2X7受容体アゴニストBz-ATPで刺激したヒトアストロサイトは、ATPに対する反応とは異なり、緩やかな細胞内Ca濃度の上昇を示し、プラトーがしばらく持続した。リポポリサッカライドはBz-ATP刺激によるヒトミクログリアのCaシグナリングを増強することが報告されているが、ヒトアストロサイトにおいては、リポポリサッカライドによる増強は見られなかった。 またRT-PCR法を用いて、培養ヒトアストロサイトがP2Y1受容体、P2Y2受容体、P2X7受容体をコードするmRNAを恒常的に発現することを確認した。 以上の結果から、成人ヒトアストロサイトのプリン体によるCaシグナリングには、代謝型のP2Y1受容体、P2Y2受容体、イオンチャネル型のP2X7受容体が関与していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
in vitro系の解析は順調に進展させることができているが、ヒト死後脳を用いたin vivo系の解析は進んでおらず、これは今後の課題である。
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Strategy for Future Research Activity |
メタボローム解析を用いて、in vitro系で明らかになっているヒトアストロサイトの神経毒性因子の同定を行う。またH26年度はヒト死後脳を用いたin vivo系の解析も行い、ヒトグリア細胞の神経毒性・活性化プロセスの解明する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
H25年度は、共同研究機関であるカナダのブリティッシュコロンビア大学への出張、および海外での学会発表を行わなかったた。また試薬類も前年度購入したものが、品質を保ったまま、本年度も使用することができた。以上の理由により次年度使用額が生じた。 H26年度は、in vitro解析を更に推進し、ヒトアストロサイトの神経毒性因子を同定するため、メタボローム解析を外部委託する予定である。またin vivo解析を推進するため、試薬類の購入、共同研究機関であるカナダのブリティッシュコロンビア大学への出張、および研究成果の海外での学会発表も予定している。
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Research Products
(3 results)