2012 Fiscal Year Research-status Report
広汎性発達障害におけるメタボリック症候群予測マーカーの探索
Project/Area Number |
24591724
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
館農 勝 札幌医科大学, 医学部, 研究員 (60464492)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古橋 眞人 札幌医科大学, 医学部, 助教 (20563852)
鵜飼 渉 札幌医科大学, 医学部, 講師 (40381256)
渡邊 公彦 札幌医科大学, 医学部, 研究員 (70464493)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 自閉症 / 広汎性発達障害 / メタボリック症候群 / 耐糖能異常 / 脂質異常症 |
Research Abstract |
本研究課題の初年度として,対象となる広汎性発達障害(PDD)患者の診断,および臨床症状の評価を行い,各種検査結果をデータベース化した。診断に関しては,日本児童青年精神医学会認定医,日本小児精神神経学会専門医,臨床心理士を含む多職種で構成される児童精神診療チームで慎重に検討を行った。母子手帳データ,養育者からの詳細な生育歴,幼少期,学童期の生活様式の聴取,通知表記録の確認,広汎性発達障害日本自閉症協会評定尺度(PARS)に基づく症状評価を行い総合的に判断した。ウェクスラー式知能検査(WISC, WAIS)をはじめとした各種心理検査,自閉症スペクトラム指数(AQ),Baron-Cohenによる共感化指数(EQ),システム化指数(SQ)などの自記式検査,子どもの行動チェックリスト(CBCL),ADHD評価スケール(ADHD-RS)などの観察式評価を施行し,結果をデータベース化した。メタボリック症候群の発症予測因子探索のため,基礎的データの収集として,スクリーニング採血,BMI(Body Mass Index)の測定,日常の運動量を推定するための評価としてひきこもり行動チェックリスト(HBCL)による行動観察を行った。また,生化学的検討として,次年度の研究計画遂行に向けた予備的研究として,思春期・青年期の統合失調症患者を対象に,肥満やエネルギー代謝に関連するタンパクであるadiponectin, leptin, TNFa, IGF-1, Resistin, IL-6, PAI-1, TGFb,および,インスリン抵抗性の指標であるHOMA-R指数の計測を行いBMIを含め,相互の関連性について検討した。その結果,HOMA-Rやadiponectinが,メタボリック症候群に関連した症状の発現予測に役立つ可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題に関しては,おおむね順調に進展している。 すでに150例以上の症例に関して,母子手帳データ,養育者から得た詳細な生育歴,幼少期・学童期の生活様式,通知表記録,広汎性発達障害日本自閉症協会評定尺度(PARS)に基づく特徴的行動様式などの臨床症状,ウェクスラー式知能検査(WISC, WAIS)をはじめとした各種心理検査,自閉症スペクトラム指数(AQ),Baron-Cohenによる共感化指数(EQ),システム化指数(SQ)などの自記式検査,子どもの行動チェックリスト(CBCL),ADHD評価スケール(ADHD-RS)などの養育者による観察式評価の結果をデータベース化した。 また,今後の生化学的検討に向けた準備として,思春期・青年期の統合失調症患者,および,健常対照を対象に,肥満やエネルギー代謝に関連するadiponectin, leptin, TNFa, IGF-1, Resistin, IL-6, PAI-1, TGFbなどのサイトカインを計測し,比較検討を行った。つまり,本研究の対象者から採血を行い,同様の手法を用いた計測を行う事で,目的とするサイトカインの解析が可能な状態となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
生化学的検討として,研究対象者の血清中の各因子の測定を行う。脂肪細胞から産生され食欲やエネルギー代謝を調節するleptin,下垂体に作用し成長ホルモン(GH)の分泌を促進する他,視床下部において食欲増進作用を有するghrelinなどのペプチドの測定を行う。また,ELISA法を用いて,肥満などのメタボリック症候群と関連が深い考えられるTNFa, IGF-1, Resistin, IL-6, PAI-1, TGFbなどのサイトカインを測定する。脂質代謝に関連する末梢血分子の計測として,脂肪細胞から分泌される生理活性タンパクであるadipokinesの測定を行う。特に,糖尿病や動脈硬化症などの代謝性疾患の新規治療薬開発に関連して注目を集めている,脂肪細胞型脂肪酸結合タンパク(aP2/FABP4/A-FABP)の測定を行う。消化管ホルモンに関して,血糖値依存的に膵β細胞からのインスリン分泌を促進し耐糖能に深く関係することが知られているGLP-1やGIPなどのインクレチンの計測を行う。酸化ストレスマーカーについて,一酸化窒素(NO)と反応し,蛋白質や脂質などを酸化させることが知られているフリーラジカルであるスーパーオキサイドアニオンの分解に関わる酵素であるスーパーオキサイドジスムターゼ(super oxide dismutase: SOD)の活性を測定し,チオバルビツール酸反応性物質(TBARS)を指標に,脂質過酸化を解析する。 その後,これらの生化学的データと臨床データとの相関について,統計学的に検討を行い,広汎性発達障害におけるメタボリック症候群関連症状の発現予測に有用と考えられる因子について検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
前年度,研究データの収集,整理,解析のために謝金を予算計上していたが,研究代表者,および,研究分担者が,これらの作業を行う事により,謝金の支出が不要となった。また,研究対象者の診断精度を向上するために購入を予定していた質問紙の発売が遅れたため次年度に購入することとなり,合計105,699円を次年度に繰り越すに至った。 物品費:950,000円(サイトカイン計測用ELISA 109,000×4=436,000,実験用抗体 218,000円,実験用血清等 126,000円,ピペット等実験器具 72,400円,評価スケール・質問紙等 45,000円,その他実験用消耗品 52,600円) 旅費:250,000円(国際学会旅費 150,000円,国際学会参加登録費 40,000円,国内学会旅費 50,000円,国内学会参加登録費 10,000円) 人件費:150,000円(研究補助員 8,000円×15日=120,000円,英文校正謝金 30,000円) その他:55,699円(別刷り費用,通信費,雑費など)
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Research Products
(7 results)