2013 Fiscal Year Research-status Report
広汎性発達障害におけるメタボリック症候群予測マーカーの探索
Project/Area Number |
24591724
|
Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
館農 勝 札幌医科大学, 医学部, 研究員 (60464492)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古橋 眞人 札幌医科大学, 医学部, 助教 (20563852)
鵜飼 渉 札幌医科大学, 医学部, 講師 (40381256)
渡邊 公彦 札幌医科大学, 医学部, 研究員 (70464493)
|
Keywords | 自閉症 / 広汎性発達障害 / メタボリック症候群 / 耐糖能異常 / 脂質異常症 |
Research Abstract |
研究初年度に引き続き、対象となる広汎性発達障害(PDD)患者の診断を慎重に行い、その臨床症状や各種検査結果についてデータベースを構築した。幼少期のデータを含め、ウェクスラー式知能検査(WPPSI, WISC, WAIS)や新版K式発達検査2001などの発達心理検査、子どもの行動チェックリスト(CBCL, TRF)、ユースセルフレポート(YSR)などの評価スケール、自閉症スペクトラム指数(AQ)や対象者の認知特性を理解するための自己記入式スケールであるBaron-Cohenにより作成された共感化指数(EQ),システム化指数(SQ)、観察式評価となるADHD評価スケール(ADHD-RS)などの結果をデータベース化した。また、メタボリック症候群の発症には、運動量や食生活などの日常生活スタイルが大きく影響するため、行動評価スケールとして、ひきこもり行動チェックリスト(HBCL)やインターネット依存スケール(IAT)などを施行した。生化学的検討として、末梢血を用いて、脂質代謝に関連する項目に加え、空腹時血糖や血中インスリン濃度などを計測し、インスリン抵抗性の指標であるHOMA-R指数を算出した。肥満やエネルギー代謝に関連するタンパクの発現解析の予備的研究として、一部の対象者について、ELISA法を用いて、adiponectin, leptin, TNF-alpha, IGF-1, Resistin, IL-6, PAI-1, TGF-betaの計測を行った。PDDにおいて、耐糖能異常や脂質異常など、将来的なメタボリック症候群関連症状の発現を予測するためのマーカーとなりうる因子を特定するため、統計解析を行っているが、更なるデータの蓄積および詳細なデータの解析が必要である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
多数の症例について、周産期記録、養育者から得た幼児期の詳細な生育歴情報、幼少期・学童期の生活様式、各種発達心理検査結果、自己記入式スケールや観察式評価スケールの結果について、データベースを構築した。体重増加やエネルギー代謝に影響を与える運動量などの生活様式を評価するため、行動評価スケールを用いて観察を行いデータ化した。一部の対象者に関しては、ELISA法を用いて、肥満やエネルギー代謝に関与するadiponectin, leptin, TNFa, IGF-1, Resistin, IL-6, PAI-1, TGFbなどのサイトカインを計測した。よって、最終年度に予定している各種解析を行う準備が整っている状態である。
|
Strategy for Future Research Activity |
メタボリック症候群の発症に関して、内臓脂肪の蓄積による肥満、耐糖能異常、高血圧、脂質代謝異常等は、様々な要因が複雑に関係している。また、肥満や糖尿病の高い家族歴に象徴される様に、遺伝負因による影響も大きい。さらには、これらの発症には、摂取カロリーや運動量に依存する消費カロリー等の生活様式の影響も大きい。よって、より多くの研究協力者を募り、それぞれの要因について、その有無による二群比較を行う等して、各要因の影響について検討を行う。また、自己記入式スケールや観察式スケール、腹囲の計測やBMI(Body Mass Index)を算出するための身体計測等の非侵襲的なデータ収集については、対象者の両親や兄弟にも協力を得て、より詳細な検討を行うこととする。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究データの整理や解析を目的に、研究補助員への謝金を予算に計上していたが、今年度は、研究代表者および分担者が作業を行ったために支出が不要となった。 研究データの整理や解析のために、次年度、研究補助員に謝金を支給する予定である。
|
Research Products
(11 results)