2013 Fiscal Year Research-status Report
精神科救急における適正受診のための指標開発および連携体制構築による地域介入研究
Project/Area Number |
24591729
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
遠藤 仁 岩手医科大学, 医学部, 助教 (90552737)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大塚 耕太郎 岩手医科大学, 医学部, 講師 (00337156)
酒井 明夫 岩手医科大学, 医学部, 教授 (30146063)
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Keywords | 精神科救急 / 適正受診 |
Research Abstract |
精神科救急医療施設である高次救命救急センターを受診した患者の特性調査は継続しつつ、加えて精神科救急システムの適性利用および適性受診に関して、各診察対応医が受診適正度に関して評価した。かかりつけ医に対するアンケート用紙を用いた実態調査についても、関係機関との体制整備進行中である。平成24年度発表の論文「精神科救急システム適正利用に向けた実態調査―受診時主訴とその転帰からの検討―」において、受診時主訴の中で最多であった身体的愁訴を更に詳細に調査する目的で、身体的愁訴の一つである「頭痛・頭重感」に着目して調査した。その結果、精神科領域の頭痛は症状発症時には既に身体面、精神面、環境面など、複数の領域に渡る問題点が背景に存在しており、状況により対応すべき問題点の優先順位も変化するため、その都度、患者状態を慎重に評価しつつ多方面に渡る対応を継続して行う必要があると考えられた。この研究成果は第41回日本頭痛学会において発表を行った。 今後、他の身体的愁訴においても詳細に検討し、精神科領域において対応困難な場合の多い、身体的愁訴に関する適正受診の対応マニュアルを検討する。また、自殺のリスク評価についても、引き続き自殺企図手段毎の背景因子や転帰を調査し、再企図予防のため精神科救急システムの適正利用を行政や住民に啓発する。現在実施進行中の、患者のための受診適正化プログラム開発についても上記の患者背景調査を継続しつつ施行予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
精神科救急領域における身体的愁訴が当初の予測よりも遥かに多岐に渡り、時に、より重症化するケースも散見されたため、適正受診のための情報収集をより慎重に細分化して吟味する必要性があった。したがって、高次救命救急センターを受診した患者背景因子の調査を、初期の予定よりも詳細に進めていく方向とした。かかりつけ医に対する実態調査は、現在、アンケート用紙を作成した段階であり、今後は関係機関に連絡調整の上、アンケート記載や収集などについて体制整備を進めていく。また、患者のための受診適正化プログラムの開発については、受診プログラムが患者の不利益とならないよう留意しながら、患者の主訴や転帰を中心とした精神科救急医療施設における実態調査と自殺のリスク評価の結果を基に、救急受診の際の重症度を適切に評価しつつ作成中である。
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Strategy for Future Research Activity |
精神科救急医療施設における実態調査は今後も継続する。対象施設における精神科救急症例に関しては平成25年度と同様、精神科救急担当医によって記載されるケースカードおよび調査票によって、適正受診度の評価も含め情報収集を行う。身体的愁訴について詳細に検討しつつ、加えて入院期間も詳細に検討することで、長期入院の原因となる背景因子や受診時主訴を特定し、精神科救急システム全体の円滑な運営に活用する。情報に関しては雇用する地域連携員がデータ入力を実施する。アンケート記載や収集についても継続し、精神科救急対応施設、精神科病院協会、精神科診療所協会、精神科救急情報センター、地域の医療機関、保健所などの各関係機関との連携を強化し体制整備を進める予定である。最終年度に当たり、これまでの研究成果について成果発表をする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
精神科救急領域における身体的愁訴をより慎重に吟味すべく、高次救命救急センターを受診した患者背景因子の調査をより詳細に進めていく方向としたことにより、平成25年度使用予定であった、成果報告のための資料作成、地域住民用のリーフレット・ポスター製作などに係わる予算執行額が当初の予定より少なくなった。 最終年度となる次年度は、かかりつけ医に対する実態調査を実施し、データの収集・解析を進め精神科救急における適正受診のための指標を策定する。この際、データ保護の意味合いからもインターネットに接続しないコンピュータ環境下でデータの管理・処理を行う必要があるため、専用のコンピュータを用いる。また、データ入力・解析・出力のためコンピュータ・ソフトを活用する。これまでの研究で得られた途中経過を含める解析結果を速やかに論文などで公表する。加えて、研究成果を学会にて周知し、その場で臨床家や研究者などとの交流を行い、研究に還元する目的で旅費を使用する。更に地域住民用のリーフレット・ポスターを製作し普及啓発に役立てる。繰り越した予算を有効に活用し研究成果につなげる予定である。
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