2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24591740
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
安野 史彦 奈良県立医科大学, 医学部, 准教授 (60373388)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松山 知弘 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (10219529)
田口 明彦 公益財団法人先端医療振興財団, その他部局等, 研究員 (10359276)
関山 敦生 大阪市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (30403702)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 脳梗塞 / うつ病 / MRI / 免疫炎症反応 / T細胞 |
Research Abstract |
A. 脳梗塞患者における神経機能、神経画像および免疫炎症反応の解析 脳梗塞患者35名を対象に、発症2週から1か月以内の亜急性期において、①うつ病態の評価、②MRI拡散テンソル画像を用いた各白質領域のFA値の測定を行った。 17名の脳梗塞患者では、脳梗塞後半年の時点で、再度の検査を行い、半年間での変化を検討した。健常対照者コントロール42名を対象に同様の検討を行った。その結果、脳梗塞患者において、両側内包領域を中心に、FA値の低下で示される神経連絡線維の微小構造の有意な変化がみられた。半年間の観察期間の間に、FA値の改善がみられ、神経線維の障害が回復可能なものであることが示された。さらに、FA値の半年間での増大率が、うつ症状の軽減と、有意な相関を示した。内包を中心とする白質神経線維の保護と回復の促進が、亜急性期以降の脳梗塞のうつ症状の軽減および回復に重要である可能性がしめされた。免疫炎症反応との関連については、現在、解析中である。 B. 脳梗塞後マウスモデルにおける神経再生とうつ病態に関する研究 脳梗塞患者において血中免疫・炎症細胞群の動態が、脳梗塞後の神経再生・可塑性を障害している可能性について検討した。Glucocorticoid誘導性のtumor necrosis factor (TNF)受容体:GITRは、免疫の調節因子であるが、CD4(+)T細胞上に発現する。脳梗塞マウスモデルによる実験から、CD4(+)T細胞の中でも、CD4(+)GITR(+)T細胞が脳梗塞後の神経再生を妨げる主要な因子であることが示された。脳梗塞患者においてT細胞を介した免疫・炎症反応の動態が、うつ病態と関連の疑われる神経再生障害に影響を及ぼすことが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度計画における、脳梗塞後うつ病態に対する、MRI-拡散テンソル画像を用いた検討は、順調に推移し、脳梗塞患者において、両側内包領域を中心に、FA値の低下で示される神経連絡線維の微小構造の有意な変化を明らかにできた。半年間の観察期間の間に、FA値の改善がみられ、神経線維の障害が回復可能なものであることが示された。さらに、FA値の半年間での増大率が、うつ症状の軽減と、有意な相関を示した。これらにより、内包を中心とする白質神経線維の保護と回復の促進が、亜急性期以降の脳梗塞のうつ症状の軽減および回復に重要である可能性がしめされた。 また、マウスモデルにおいては、脳梗塞患者において血中免疫・炎症細胞群の動態が、脳梗塞後の神経再生・可塑性を障害している可能性について検討した。脳梗塞患者においてT細胞を介した免疫・炎症反応の動態が、うつ病態と関連の疑われる神経再生障害に影響を及ぼすことが明らかとなった。脳梗塞後の神経再生に免疫炎症機構が作用することを明らかにでき、当初の予想を裏付けることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
脳梗塞患者を対象に、1)うつ病態、2)MRI拡散テンソル画像を用いた測定に引き続き、さらに、3)安静時fMRIを用いた機能的connectivityの解析も可能になったので、白質の微小構造障害に伴う部位機能関連の特異的な障害について検討し、さらにその脳梗塞後うつ病との関連を検討する。マウスモデルにおいて、脳梗塞後の神経再生に免疫炎症機構が作用することを明らかにできたが、その知見に基づき、4)末梢血中リンパ球系・幹細胞細解析、炎症系サイトカイン・可溶性サイトカインレセプターの網羅的解析について検討し、脳梗塞後うつ病との関連をみる。マウスモデルについては、脳梗塞後の神経再生と免疫炎症機構の関連についてさらなる検討を行う。免疫炎症との関連について、PET分子イメージングの導入も考慮する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究費の使用計画: 1)MRI拡散テンソル画像解析の関連費用、2)安静時fMRIを用いた機能的connectivityの解析関連費用、3)末梢血中リンパ球系・幹細胞細解析、炎症系サイトカイン・可溶性サイトカインレセプターの網羅的解析の関連費用、4)PET分子イメージングの導入の関連費用、5)マウスモデル実験関連費用のそれぞれに使用する。
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article] Increased binding of peripheral benzodiazepine receptor in mild cognitive impairment-dementia converters measured by positronemission tomography with [¹¹C]DAA1106.2012
Author(s)
Yasuno F, Kosaka J, Ota M, Higuchi M, Ito H, Fujimura Y, Nozaki S, Takahashi S, Mizukami K, Asada T, Suhara T
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Journal Title
Psychiatry Res
Volume: 203
Pages: 67-74
DOI
Peer Reviewed
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