2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24591740
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
安野 史彦 奈良県立医科大学, 医学部, 准教授 (60373388)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松山 知弘 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (10219529)
田口 明彦 公益財団法人先端医療振興財団, その他部局等, 研究員 (10359276)
関山 敦生 大阪市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (30403702)
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Keywords | 脳梗塞 / MRI / 拡散テンソル画像 / 免疫炎症反応 / T細胞 |
Research Abstract |
A. 脳梗塞患者における神経機能、神経画像および免疫炎症反応の解析 我々は脳梗塞後の白質微小構造変化に対する、免疫炎症反応の影響を検証した。29名の亜急性期脳梗塞患者と38名の健常被験者に対して、MRI-DTI撮像を実施し、両群の白質fractional anisotropy (FA)値をvoxel-based analysisによって検討した。同時にこれらの被験者に対して、末梢血中のリンパ球動態を検討した。脳梗塞患者において、両側内包領域を中心に、FA値の低下で示される神経連絡線維の微小構造の有意な変化がみられた。さらに、今回、亜急性期において、免疫炎症反応の抑制に関連する末梢血中regulatory T lymphocytes (Treg)が減少し、その減少の程度が白質FA値減少に関連することが示された。末梢血中のリンパ球動態に反映される免疫炎症反応が、内包を中心とする白質神経線維のダメージに影響することが明らかになった。これらの結果と、脳梗塞後うつ病との関連について、現在、検討中である。 B. 脳梗塞後マウスモデルにおける神経再生とうつ病態に関する研究 脳梗塞患者において血中免疫・炎症細胞群の動態が、脳梗塞後の神経再生・可塑性を障害している可能性について検討した。Glucocorticoid誘導性のtumor necrosis factor (TNF)受容体:GITRは、免疫の調節因子であるが、CD4(+)T細胞上に発現する。脳梗塞マウスモデルによる実験から、CD4(+)T細胞の中でも、CD4(+)GITR(+)T細胞が脳梗塞後の神経再生を妨げる主要な因子であることが示された。脳梗塞患者においてT細胞を介した免疫・炎症反応の動態が、うつ病態と関連の疑われる神経再生障害に影響を及ぼすことが明らかとなった。これらの結果について、臨床画像研究で示された結果との関連を検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度の主要な目的であった、MRI-DTI画像検査における脳梗塞後の白質微小構造異常についての定量と、それに対する血中免疫・炎症細胞群の動態との関連の検討は、順調に推移し、免疫炎症反応の抑制に関連する末梢血中regulatory T lymphocytes (Treg)が減少し、その減少の程度が白質FA値減少に関連することが示された。この結果は、マウスモデルにおける、脳梗塞後の神経再生にT細胞を介した免疫・炎症反応の動態が作用することと一致し、当初の予想を裏付けることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
脳梗塞患者を対象に、継時的な変化を検討し、①うつ病態と②MRI拡散テンソル画像を用いた微小構造変化、③末梢血中regulatory T lymphocytes (Treg)を中心とした血中リンパ球動態の相互関連について、総合的な検討を行う。さらに、安静時fMRIを用いた機能的connectivityの解析も可能になったので、脳梗塞後うつ病との関連を検討する。PET分子イメージングの導入も検討する。マウスモデルについては、脳梗塞後の神経再生と免疫炎症機構の関連についてさらなる検討を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当該年度において、MRI装置が、想定よりも順調に作動し、修理、維持にかかわる物品購入などの必要が、少なかったことが、次年度使用額の大きかった理由である。 1)MRI拡散テンソル画像解析の関連費用、2)安静時fMRIを用いた機能的connectivityの解析関連費用、3)末梢血中リンパ球系・幹細胞細解析、炎症系サイトカイン・可溶性サイトカインレセプターの網羅的解析の関連費用、4)PET分子イメージングの導入の関連費用、5)モデル実験動物関連費用、6)MRI装置維持関連物品費用
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Research Products
(11 results)