2013 Fiscal Year Research-status Report
頚動脈動脈硬化性プラークの客観的評価法(MRI-バーチャル・ヒストロジー)の開発
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24591746
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
田村 元 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 非常勤講師 (20333817)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大田 英揮 東北大学, 大学病院, 助教 (40586905)
中村 保宏 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (80396499)
吉村 紳一 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (40240353)
梅田 みか (渡辺 みか) 東北大学, 大学病院, 准教授 (20292344)
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Keywords | 動脈硬化 / 動脈プラーク / MRI / 緩和時間 / 拡散係数 / プラークイメージング |
Research Abstract |
平成24年度にMRI-virtual histologyを作成するために必要なMRI撮像シークエンスを確立させることができた。平成25年度は、これに基づいて、東北大学と岐阜大学において、実際に頚動脈プラークを有する患者合わせて20例以上のMRIを撮像することができた。一部で体動による画像の劣化を認めた症例を除いて、virtual histologyを作成するのに必要な画質を有すると考えられる画像が得られた。 これらの症例のうちで、プラークを外科的に切除した割合は少なかったが、プラークの組織が10例余りで得られた。このうちプラークの組織標本とMRIを明確に対比できた症例が5例になった。 組織標本で確認されたプラーク構成要素の分布と、MRIの画像から計算された定量値分布とを対比することで、プラーク構成要素の緩和時間、拡散係数を求めたが、それにより、「縦緩和時間は、プラーク内の出血巣に比べて線維性組織と脂質コアで長い」、「拡散係数は、脂質コアとプラーク内の出血巣と比較して線維性組織では大きい」という、明確な結果が得られた。従って、この2つのパラメータを用いれば、線維性組織と、脂質コア、およびプラーク内出血巣の3種類の組織を良好に分離できる可能性が示された。この結果、これまで、これらのプラーク要素の同定には、造影剤を用いたMRIを必要としていたが、これにより、造影剤無しでプラークの診断ができる可能性がある。 この結果は、平成26年度開催される国際磁気共鳴医学会 (Joint Annual Meeting ISMRM-ESMRMB 2014) の演題として採択された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成24年度において、シーケンスの確立までに1年近くを要したため、その方法によるプラークイメージングを実際に開始する時期がやや遅くなった。また、確立したシーケンスでデータを取り始めたが、画像データを取得できた症例の中で、内膜剥離術に回る症例が少なかったため、画像と病理組織と対応させることができた症例が、予定よりまだ少ない状態である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度において、さらに内膜剥離術の対象症例を追加出来る見通しであり、病理組織との対応可能な症例を少なくとも数例は追加し検討に加える予定である。 緩和時間、拡散係数に基づいて、MRI-virtual histologyを作成し、これより求められた各プラーク構成要素と、内膜剥離術の標本と対比して、MRI-virtual histologyにおける組織診断の正診率、プラーク構成要素のサイズの一致度を検証する。MRI-virtual histologyを作成するための、市販ソフト内で動作可能な計算式プログラムの作成を試みる。 これまでの結果を今平成26度開催される国際磁気共鳴医学会 (Joint Annual Meeting ISMRM-ESMRMB 2014, 10-16 MAY) や日本磁気共鳴医学会大会で発表し、論文執筆を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1.ノートPCを購入せずに既存のもので代用した。 2.人件費・謝金を使用せずに研究を進めることができた。 平成26年度は最終年度であり、これまで得られた成果を国際学会・国内学会などで発表するための旅費の一部として使用する。
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