2012 Fiscal Year Research-status Report
放射性臭素を用いた抗腫瘍活性ペプチドの標識合成と治療的診断法への応用
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24591748
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
山田 圭一 群馬大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (70323334)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 治療的診断 / 放射性臭素 / 抗腫瘍ペプチド / 標識合成 / イメージング / 薬物動態 |
Research Abstract |
本研究は、トリプルネガティブ乳癌(TNBC)に対して顕著な抗腫瘍活性を示すハロゲン含有疎水性環状ペプチドSA-Xを親化合物として放射性臭素による標識合成法の確立と治療的診断への応用を目的とする。本年度は、効率的な標識合成のために環化に適したペプチド配列の検討と環状ペプチド型の標識前駆体合成に取り組んだ。まず、SA-X中のL-アミノ酸をD-体に置換した一連のアナログ体を合成し、親化合物の場合よりも収率が向上したことを確認した。得られた環状ペプチドのNMR構造解析を行った結果、置換位置の違いがコンホメーション特性を大きく左右することを明らかにした。現在、これらの合成ペプチドを用いて培養TNBC細胞(MDA-MB-231)及び通常の培養乳がん細胞(MCF-7)に対する細胞毒性試験を行っており、単一コンホマーを与えるペプチドと複数のコンホマーを与えるペプチドで活性に差が生じるか検討している。また、環状ペプチドを原料として標識前駆体の直接合成を試みた。Pd(0)触媒の存在下で、ビス(トリブチルすず)作用させることで、標識前駆体を中程度の収率で得ることができた。以上の結果より、鎖状前駆体の調製・標識化・ペプチド環化の3ステップからなる従来法よりも効率よく標識化合物を得るための基礎的知見が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
化合物の精製方法の検討とNMR構造解析に予想以上の時間を要したが、当初計画の大半を実施することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は以下の方針に沿って研究を実施する。 1)新しい標識前駆体としてケイ素置換アミノ酸及びこれを含む環状ペプチドを合成し、基礎検討用核種Br-77を用いた標識合成を実施する。また、標識率や放射化学純度を対応するスタニル体の場合と比較する。 2)水溶性置換基(糖アミノ酸、ピリジンアミノ酸、PEG修飾アミノ酸など)の導入により親水性の尺度となる水-オクタノール間の分配係数や培養細胞に対する殺細胞活性がどのように変化するか調べる。 3)標識合成に成功すればノーマルマウスにおける薬剤体内分布の調査を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ノーマルマウス購入・維持にかかる費用(新たに追加した分担研究者に配分)や標識前駆体合成に必要な試薬品の購入に充てる。
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