2012 Fiscal Year Research-status Report
位相差強調画像化法を用いたアミロイドイメージングの開発
Project/Area Number |
24591777
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
平井 俊範 熊本大学, 大学院生命科学研究部, 准教授 (40274724)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
米田 哲也 熊本大学, その他の研究科, 准教授 (20305022)
橋本 衛 熊本大学, 医学部附属病院, 講師 (20452881)
菰原 義弘 熊本大学, 大学院生命科学研究部, 講師 (40449921)
池田 学 熊本大学, 大学院生命科学研究部, 教授 (60284395)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | MRI / アミロイドイメージング / アルツハイマー病 |
Research Abstract |
MRIを用いたアミロイドイメージングは 7テスラ(T)などの超高磁場MRI装置で画像化が報告されているが、サイクロトロンが必要で少数の施設に限られる。組織の位相差を鋭敏に強調する位相差強調画像化法(PADRE)は脳組織の微細構造や磁化率に影響する物質の描出に有用であり、7Tより低磁場のMRI装置でも脳アミロイドβの蓄積を画像化できる可能性がある。この研究の目的は、3T MRI 装置を用いて、位相差強調画像化法をアルツハイマー病の患者や標本脳に応用し、脳アミロイドβ蓄積部の画像化の臨床での実現可能性を明らかにすることである。 アルツハイマー病へのPADREの臨床応用に向けて3T MRI装置でまず健常ボランティアを用いて撮像法の最適化を行った。このボランティア研究は当施設の倫理委員会の許可を得た後に行った。2種類のグラジエントエコー法(T1FFE、PRESTO)でTE、撮像時間、撮像方向、収集法(2次元、3次元)を変えて健常ボランティアを撮像した。そのデータを専用のコンピュータを用いてPADRE 処理を行った。大脳皮質において位相のレベルや幅を調節しながら、大脳皮質の微細構造の描出に最適な条件を評価した。その結果、PRESTOよりT1FFEの方が大脳皮質の微細構造描出において優れていることが明らかになった。また、撮像方向の検討にて冠状断像より横断像の方が大脳皮質の微細構造描出に適していた。また、撮像時間を一定にすると2次元収集の方が3次元収集より信号強度雑音比が優れていた。アルツハイマー病患者においては、短時間(少なくとも10分以内)の撮像が必要と思われ、2次元収集のT1FFE法を横断像である限られた範囲で撮像することが望ましいと考えられた。この条件の決定は臨床研究を進めて行く上で必須であり、本研究の基礎的条件として重要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
24年度の研究実施計画ではアルツハイマー病のトランスジェニックマウス(APP)を用いて撮像条件の最適化を行う予定であったが、動物用コイルとなるため、臨床用頭部コイルの撮像条件とは異なるものと思われた。また、7テスラの超高磁場MRI装置で人のアルツハイマー病患者の大脳皮質内アミロイドの画像化が報告されているため、当年度は健常ボランティアを用いて3テスラの高磁場MRI装置での撮像法の最適化を行った。次年度の臨床研究の基礎となるデータが得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
アルツハイマー病患者10 名において3T MRI 装置にて三次元グラジエントエコー法(T1FFE)を撮像する。アルツハイマー病患者は当院精神神経科の入院患者から罹病期間、年齢、性別、高血圧の有無、認知機能指数(MMSE など)を参考にして対象者を選択する。この臨床研究は当施設の倫理委員会の許可を得た後に行う。得られた画像データをPADRE 処理を行い、コントロールとアルツハイマー病患者における大脳皮質の構造、信号変化について比較検討する。 また、アルツハイマー病の人標本脳を用いて、3T MRI 装置でその標本脳を三次元グラジエントエコー法(T1FFE)で撮像する。得られた画像データをPADRE 処理を行い、この得られたPADRE処理によるMR画像結果と病理・免疫組織学的分析結果とを詳細に比較検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
データの入力、集計、解析に使用するコンピュータの購入が必要である。平成25年度に国内で延3回、外国(米国神経放射線学会、北米放射線学会)で 2回の情報収集や成果発表のために旅費を必要とする。3テスラMRI装置を稼働する放射線技師に対する人件費・謝金の費用が生じる場合には、それを支出する。その他、専門学術雑誌への投稿料および、研究経過の記録などのための印刷費、複写料が経常経費として必要となる。
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