2014 Fiscal Year Annual Research Report
腫瘍におけるFDG取り込みレベルとp53ステータスとの相関性に関する生物学的検討
Project/Area Number |
24591781
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
森 宣 大分大学, 医学部, 教授 (20128226)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菓子野 元郎 大分大学, 医学部, 准教授 (00437287)
山田 康成 大分大学, 医学部, 講師 (60244183)
松本 俊郎 大分大学, 医学部, 准教授 (80219500)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | フルオロデオキシグルコース / PET検査 / p53 / ワーブルグ効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
【研究の目的】p53遺伝子の変異は癌の悪性化の原因となることが知られている。がん検査で用いられる陽電子断層放射撮像(PET)検査において、フルオロデオキシグルコース(18F-FDG)の腫瘍部位での集積性が利用されるが、その集積度とp53のステータスとの間に相関性があれば、その後の治療戦略に生かせると考え、基礎的検討を目的とした。本事業において、18F-FDGの細胞集積度とp53ステータスとの相関性について、p53のステータスに違いのある培養細胞各種を用いて比較検討を行った。 【方法】p53遺伝子を欠失している細胞Saos-2及びH1299へwild type p53、または変異型p53をそれぞれ発現させた。p53タンパク質の発現についてはウェスタンブロットで確認した。18F-FDG集積度を調べ、親株におけるそれと比較した。また、p53が正常に機能する細胞BJ/hTERTにおいて、siRNAでp53をノックダウンすることにより、18F-FDG集積度が変化するか否かを調べた。 【結果】Saos-2細胞における18F-FDG集積度は、変異型p53を導入し発現させることにより変わることはなかった。H1299細胞において、正常p53を発現させたもの、及び変異型p53を発現させたもの共に、p53のステータスの違いによる18F-FDG集積度の違いは見られなかった。さらに、BJ/hTERT細胞のp53をノックダウンすることにより、18F-FDG集積度が変わることはなかった。この結果を受けて、p53が正常な由来の異なる細胞株6種(ONS76、Becker、C32TG、Marcus、NB1RGB、HFL-III)を用いて、18F-FDGの集積度を比較検討したところ、p53が正常という共通点があってもFDGの集積度は大きく異なるということが分かった。以上の結果より、癌におけるFDG集積度のレベルというのは、p53ステータスに直接影響を受けず、それ以外の機構が関与すること、p53ステータスの違いよりも他の因子の違いのほうが集積度の違いに影響することが示唆された。
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