2012 Fiscal Year Research-status Report
脳MRI次世代拡散・血流解析を用いたパーキンソン病の微細病理変化の解明
Project/Area Number |
24591787
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
趙 成済 順天堂大学, 医学部, 講師 (60236833)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青木 茂樹 順天堂大学, 医学部, 教授 (80222470)
堀 正明 順天堂大学, 医学部, 准教授 (40334867)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | パーキンソン病 / MRI / 拡散テンソル / 拡散尖度画像 / ASL |
Research Abstract |
拡散テンソルを用いて、認知症を伴うパーキンソン病患者は認知症のないパーキンソン病患者に比べて、前頭前野、脳梁の有意な白質変性があることを示した。また、パーキンソン病患者において、前頭前野、脳梁の白質線維変性と認知機能障害の尺度であるMini mental state examination scoreとの間に有意な相関関係を検出した。この結果から前頭前野、脳梁の白質変性と認知機能障害に関連があることが示され、前頭前野、脳梁の白質変性を拡散テンソルを用いて定量することで、認知機能障害を客観的に測定するイメージングバイオマーカーとなる可能性がある。 拡散尖度画像を用いて、認知症を伴わないパーキンソン病患者の帯状束前部の白質変性を示した。拡散尖度画像の定量値であるmean kurtosisは拡散テンソルの定量値であるmean diffusivityやfractional anisotropyよりも高い感度、特異度を持っており、パーキンソン病の早期診断や病勢評価のバイオマーカーとなる期待ができる。 MRIにおける脳血流画像であるArterial spin labeing法を用いて、認知症を伴わないパーキンソン病患者と健常対照者を比較し、楔前部に有意な血流低下部位を検出することができた。この結果はSPECTやPETの結果とも一致し、放射性同位元素や造影剤などを使用せず、非侵襲的にパーキンソン病患者の脳血流が評価できる可能性を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初想定したものと同数程度のパーキンソン病患者の拡散テンソル像、拡散尖度画像、Arterial spin labering、3DT1強調像を撮像することができており、データ収集は良好に進行している。 またパーキンソン病患者における前頭前野、脳梁の白質変性と認知障害との関連を示すことができ、その結果は学会発表を経て、European Radiology誌に投稿し、acceptされた。Arterial spin laberilgを用いた認知症のないパーキンソン病患者の楔前部の血流低下や拡散尖度画像を用いた認知症のないパーキンソン病患者の帯状束前部の白質変性についても学会発表をすませ、現在投稿準備中である。
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Strategy for Future Research Activity |
症例数の蓄積を進める(PD患者100例、健常対象者100例程度)と共に、平成24年研究計画の結果を踏まえて更に下記のように研究を進める。 3D-T1強調像をVBMの手法を用いて、灰白質容積の評価を行い、PD群に特異的な萎縮を評価する。VBMには最新の解析法であるDARTEL法を利用し、精度の高い結果を求める。Q space imagingを利用して、特異的な白質障害を評価し、細胞径、軸索径をはじめとした大脳白質の微細な構造変化を検出する。安静時におけるfMRIデータから安静時に賦活化されるデフォルトモードネットワークの機能をPD群、認知症を伴ったPD群、健常対照群で評価し、比較検討する。ASL、VBMの結果得られた特異的な脳部位を起点として、拡散テンソルトラクトグラフィを用いて大脳白質を描出し、定量評価する。 上記の結果を包括的に総合し、神経病理学的に特徴とされる病変の解剖学的部位との関係を検討する。また、解析により得られた脳血流、脳萎縮、白質障害の定量値をMini-Mental State Examination (MMSE)やClinical Dementia Rating Scale (CDR)などの認知機能検査やFrontal assessment battery at bedside(FAB)、Hoehn-Yahr の重症度分類、Unified Parkinoson's Disease Rating Scale (UPDRS)などの一般的なPDの重症度との相関解析も行う。研究結果を関連学会で報告し、意見・批判を含め、論文報告する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度の経費の主な用途は画像解析用のワークステーションデスクトップパソコン、ノートパソコン、データ保存用のハードディスクである。当施設でもすでに処理可能なワークステーションは保有しているが,パーキンソン病患者40 人、健常対照者30 人程度のMRI画像データが既に蓄積され,画像処理と解析に長時間がかかることが推測されるため,当研究専用の高い処理能力を持ったワークステーションデスクトップパソコン、ノートパソコンが必要となる。当然データの容量も膨大となるため、保存やバックアップのための容量の大きなハードディスクも必要である。現時点で総計70人程度の画像データの解析が必要であり、画像解析には当施設に研究目的で来ている他学(首都大学東京)の大学院生にも協力を要請し、謝金を支払うものとする。 また、関連学会(日本放射線学会総会、秋季大会、日本核磁気共鳴医学会大会、国際核磁気共鳴学会、神経放射線学会)に参加し、研究結果の公表や先端MRI技術やパーキンソン病の新たな知見などの情報収集を行うための旅費も必要である。
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