2013 Fiscal Year Research-status Report
超高磁場MR装置を用いた神経疾患モデルマウス脳機能の解明
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24591790
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
高梨 潤一 東邦大学, 医学部, 客員教授 (00302555)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺田 一志 東邦大学, 医学部, 教授 (90227520)
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Keywords | MRスペクトルスコピー / モデルマウス / 大脳白質形成不全症 / Pelizaeus-Merzbacher病 / 18q-症候群 |
Research Abstract |
平成25年度は、前年から継続してヒト大脳白質形成不全症の一つである18q- syndrome のモデルマウス(Shivererマウス、MBP遺伝子に大きな欠失を有する自然発生マウス)のMR spectroscopy (MRS) による脳化学解析、病理学的検討を施行した。Shivererマウス視床の Choline (Cho、髄鞘マーカー) はヘテロ・ワイルドマウスに比して低値、N-acetylaspartate (NAA、神経細胞・軸索マーカー) は有意差を認めなかった。免疫染色ではShivererマウス(視床)で髄鞘低形成が明らかであった。本研究結果は Msdマウスを用いた先行研究と併せ、Cho 低下が髄鞘形成不全におけるMRS上の基本的な脳化学異常であることを示している。また神経疾患で一般に低下するNAAが正常であることは、ヒト白質形成不全症の代表疾患であるPelizaeus-Merzbacher disease (PMD)と合致する所見である。本研究成果はヒト大脳白質形成不全症の診断に直ちに応用可能であり、治療効果判定・病態解明に応用可能である。2年間の研究成果は第41回日本磁気共鳴医学会大会・シンポジウム「新しい画像技術と病態解析のBreakthrough」で「白質病変の新しい病態解析とMRマーカー」として発表し、Shivererマウスの解析結果は国際磁気共鳴医学会学会誌である J Magn Reson Imagingに受理されている。 Shivererマウス実験終了後は、予定していたグルタミン酸トランスポーター(GLT1)欠損マウスと順序を入れ替え、小児白質変性症の原因として白質形成不全症とともに重要な脱髄性疾患の脳化学解析のため、その代表疾患である副腎白質ジストロフィーモデルマウス(ABCD1ノックアウトマウス)を用いた MRS解析を継続中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24, 25年度の2年間で大脳白質形成不全症モデルマウス(Msdマウス、Shivererマウス)の脳化学を解明し得た。すなわちCho低値、NAA高値ないし正常であることが大脳白質形成不全症脳代謝の特徴であり、我々がヒトPelizaeus-Merzbacher diseaseで得た結果 (Neurology 2002) を支持する所見であった。本研究成果を元に、小児白質変性症の原因として白質形成不全症とならんで重要な脱髄性疾患の脳化学解析を進めている。平成25年度からは脱髄性疾患の代表である副腎白質ジストロフィーモデルマウス(ABCD1ノックアウトマウス)を用いた MRS解析を開始している。 研究成果は、第41回日本磁気共鳴医学会大会・シンポジウム「新しい画像技術と病態解析のBreakthrough」で「白質病変の新しい病態解析とMRマーカー」として講演し、MRI, MR spectroscopyによる先天性大脳白質形成不全症の診断、病態解明. 脳と発達 2013; 45: 132-136. に総説として発表した。また、Shivererマウスの解析結果は J Magn Reson Imaging に受理され、Proton MRS の臨床有用性コンセンサスガイド 2013年度版(日本磁気共鳴医学会 Proton MRS の臨床有用性検討会編)の中で小児神経疾患のMRS(pp 36-48)を分担執筆した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度で Shiverer マウスのMRSと脳病理学的検討は修了した。小児白質変性症の原因として白質形成不全症とともに重要な脱髄性疾患の脳化学解析を推進する。平成26年度は、脱髄性疾患の代表である副腎白質ジストロフィー(ALD)モデルマウス(ABCD1遺伝子KOマウス)を用いた MRS解析を開始、継続中である。また、脳病理(LFB, Mbp、Gfap、Oligo2 染色など)を施行し、得られたMRS所見との対比を行う。 ALDモデルマウスの実験終了後、同様の方法で GLT1 欠損マウス(グルタミン酸トランスポータ欠損マウス)を検討する。グルタミン酸は多くのヒト神経疾患で病因と想定されており、同マウスはグルタミン酸の細胞毒性について重要な情報を提示しうる。小児急性脳症で高頻度の二相性脳症(AESD, acute encephalopathy with biphasic seizures and late reduced diffusion)においてもグルタミン酸が病態と関連すると考えられており、解明の一助となることが期待される。また平成26年度も中枢神経系の画像診断を専門とする東邦大学医学部・寺田一志教授を分担研究者として研究を継続する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
最先端のMR spectroscpyに関する情報収集、研究者との討論のため Clinical MR Spectroscopy Course, Society of Brain Mapping and Therapeutics に参加し旅費支出が増えた。一方で、論文共著者からマウス脳免疫染色試薬の提供を得たため、物品費が減少した。分担研究者である東邦大学医学部・寺田一志教授が300,000円支出予定であったが、予定していた国際学会へ出席が困難となり残金が生じた。 平成26年度は、物品費としてMR試薬、免疫染色試薬、文具、関連書籍購入のための支出、その他として研究成果発表のため論文の英文校正費、国際学会参加費などを予定している。実験動物MRSに関する最先端技術・知見の情報収集ないし国際的研究者との討議のため国際磁気共鳴医学会への参加を予定し、そのための旅費支出を予定している。平成26年度も分担研究者(東邦大学医学部・寺田一志教授)に研究費(300,000円)を支出する。
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Research Products
(16 results)
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[Journal Article] Epidemiological, clinical, and genetic landscapes of hypomyelinating leukodystrophies.2014
Author(s)
Numata Y, Gotoh L, Iwaki A, Kurosawa K, Takanashi J, Deguchi K, Yamamoto T, Osaka H, Inoue K.
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Journal Title
J Neurol
Volume: 261
Pages: 752-758.
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Intragenic mutations in SMN1may contribute more significantly to clinical severity than SMN2 copy numbers in some spinal muscular atrophy (SMA) patients2014
Author(s)
Yamamoto T, Sato H, Lai PS, Nurputra DK, Harahap NIF, Morikawa S, Nishimura N, Kurashige T, Tomohiko O, Nakajima H, Yamada H, Nishida Y, Toda S, Takanashi J, Takeuchi A, Tohyama Y, Kubo Y, Saito K, Takeshima Y, Matsuo M, Nishio H
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Journal Title
Brain Dev
Volume: 未
Pages: 印刷中
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] C5orf42 is the major gene responsible for OFD syndrome type VI.2014
Author(s)
Lopez E, Thauvin-Robinet C, Reversade B, Khartoufi NE, Devisme L, Holder M, Ansart-Franquet H, Avila M, Lacombe D, Kleinfinger P, Kaori I, Takanashi JI, Le Merrer M, Martinovic J, Noël C, Shboul M, Ho L, Güven Y, Razavi F, Burglen L, Faivre L, Attié-Bitach T
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Journal Title
Hum Genet
Volume: 未
Pages: 印刷中
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Phenotypic Spectrum of COL4A1 Mutations: Porencephaly to Schizencephaly.2013
Author(s)
Yoneda Y, Haginoya K, Kato M, Osaka H, Yokochi K, Arai H, Kakita A, Yamamoto T, Otsuki Y, Shimizu SI, Wada T, Koyama N, Mino Y, Kondo N, Takahashi S, Hirabayashi S, Takanashi J, Okumura A, Kumagai T, Hirai S, Nabetani M, Saitoh S, Hattori A, Miyake N, Matsumoto N, Saitsu H
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Journal Title
Ann Neurol
Volume: 73
Pages: 48-57
DOI
Peer Reviewed
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