2013 Fiscal Year Research-status Report
2回収束型スピンエコー法による拡散強調画像を利用した脳循環代謝評価法の開発
Project/Area Number |
24591801
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Research Institution | Research institute for Brain and Blood Vesseis Akita |
Principal Investigator |
中村 和浩 秋田県立脳血管研究センター(研究局), 放射線医学研究部, 主任研究員 (10312638)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
豊嶋 英仁 秋田県立脳血管研究センター(研究局), 放射線医学研究部, 流動研究員 (00595077)
木下 俊文 秋田県立脳血管研究センター(研究局), 放射線医学研究部, 放射線医学研究部長 (70314599)
近藤 靖 秋田県立脳血管研究センター(研究局), 神経内科学研究部, 流動研究員 (70360360)
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Keywords | 脳・神経 / 放射線 / 核磁気共鳴画像(MRI) / 拡散強調画像 / 脳卒中 |
Research Abstract |
本研究課題は、異なる2つのDWI撮像法を利用した計算画像から、脳血管障害における新しいMRI画像診断法を提案するものである。昨年度の研究では脳血管シミュレーションモデルによる検証実験から、異なる2つのDWI撮像法で得られる画像の差分画像が血管径の変化を反映する可能性を示すことができた。そこで本年度は、中大脳動脈閉そくモデルラットを用いて、動物用MRI装置(Agilent Technologies社 Inova)における検証実験をおこなうこととした。まず、2回収束型スピンエコー法のDWI(TRSE-DWI)法を測定するシーケンスを作成し、9匹のラットについて測定をおこなった。TR/TEは3200/100msとし、シーケンスデザインは先行研究の論文に基づき決定した。その結果、測定した画像は信号雑音比が悪く、計算画像を作成できるレベルではなかった。今後の測定では、より短いTEでの測定が必要であることが理解されたことから、先行研究のシーケンスデザインを検討したうえで、任意のTEにおけるTRSE-DWI法シーケンスを作成することとした。 動物実験モデルの検討では、脳虚血領域を評価するために脳血流量計測法および、安静時fMRIの手法について検討した。脳血流量計測法では、2 coilを用いたCASL法でも磁気移動効果の影響があることを示し、その影響が虚血側において有意に異なることを示した。また、安静時fMRIの手法については、動物用MRI装置の安定度が悪く評価できないことが理解された。 昨年度導入したシミュレーションコンピュータを利用した解析では、これまでのプログラムをそのまま利用しただけでは、計算速度が速くならなかった。そのため、GPGPUを利用した高速演算に最適化されたプログラムを作成する必要があり修正したうえで解析を進めているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
シミュレーションモデルについて、初年度である程度の成果を収めることができたことから、予定どおり動物実験による実証実験に入ることができた。このことから、おおむね計画は順調に進展していると考えている。動物モデルラットを用いた測定では、信号強度比が悪いという問題が発生しているが、測定方法の工夫で解決できる見込みがあり、予定どおり平成26年度中には脳血管障害に対する有用性を示すことが可能であると考えている。また、平成25年度に予定していたシミュレーションコンピュータを利用した解析では、これまでのプログラムをそのまま利用しただけでは、計算速度が速くならなかった。そのため、GPGPUを利用した高速演算を行うプログラムを作成する必要があり、その作成に手間取っている。そのため、平成26年度も引き続きシミュレーションプログラムによる検証実験をおこなう予定である。ヒト臨床機用シーケンスプログラムの開発環境を整備されたものの、その作成はまだ終了していない。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の目的どおり、通常の拡散強調画像(DWI)撮像法における見かけ上の拡散定数(ADC)の計算値が脳血液量(CBV)といった磁化率効果の影響をうけて大きく変化することに着目し、異なる2つのDWI撮像法を利用した計算画像を求めることで、脳梗塞といった脳血管障害における画期的MRI画像診断法を提案していく。通常のDWI撮像法である単一収束型スピンエコー法のDWI(SRSE-DWI)に加え、磁化率効果の影響が少ない2回の180度パルスを加える2回収束型スピンエコー法のDWI(TRSE-DWI)を合わせて取得することで、2つの画像からの計算画像の取得が有用であることは、シミュレーション結果から示されているが、動物実験による実証はまだできていない。中大脳動脈閉そくモデルラットによりその有用性を示し、ヒトボランティア測定をおこなっていきたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
画像の信号強度比を悪く、動物実験による実証実験の回数が予定より減少したため、消耗品の購入が予定に満たなかったため。 平成25年度に引き続き、動物実験による実証実験を行うため、予定より動物を用いた実験が増えることが予想され、この実験の費用に用いる。
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