2012 Fiscal Year Research-status Report
高磁場MRIにおけるヒト全脳3D画像の不均一補正法の開発
Project/Area Number |
24591802
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
渡邉 英宏 独立行政法人国立環境研究所, 環境計測研究センター, 室長 (60370269)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 高磁場MRI |
Research Abstract |
高磁場MRIでは、被検体由来の高周波(RF)磁場不均一性によって画像不均一性が生ずる。この画像不均一性を補正するためには、送受信兼用RFコイルの利用時でも、送信RF(B1+)、受信RF(B1-)の両分布を求める必要がある。そこで、本研究では、3D画像の不均一分布を補正することを目標として、B1+分布を測定し、得られたB1+分布から比率マップ法を用いてB1-分布を計算し、B1+分布、B1-分布を用いた画像不均一補正を行う方法を開発する。 この中で、本年度は、3D B1+分布測定法を開発することを目標とした。このために、最初に3D B1+分布計測のためのパルスシーケンスの検討を行なった。測定時間の延長を防ぐために、繰り返し時間TRを短縮することが可能な「位相を用いたB1+計測法」を適用する。位相エンコードによる3D化ではなくて、マルチスライス化を行なうことで、全測定時間の延長を防ぐ設計とし、4.7 T MR装置上に組み込んだ。 次に、得られる位相分布画像の計算法の開発を行った。この方法では、それぞれのパルスシーケンスで周波数掃印方向を逆転させた断熱パルスの1種であるhsパルスを用いた2つのスピンエコー画像を取得し、両画像の位相分布を計算する。90度パルス長を180度パルス長の1/2にした場合、得られる位相差からB1強度を求めることができる。この際、位相分布上では、360度以上に対して折り返しが生ずるため、これを巻き戻す処理(unwrap処理)が必要となる。現状では、このunwrap処理を半自動で行っていたが、大容量である3Dデータの扱いの際に、この半自動処理では煩雑であり、3D領域全体への適用が難しいことがわかった。これを解決すべく、本年度、このunwrap処理プロトコル検討を行なった。この結果、unwrap領域を中心に集めた後、処理を行うのが良いと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
3D B1+分布測定の検討を通して、必須な位相分布計算での位相unwrap処理にて、これまで用いていた半自動処理を3D領域全体に適用するには煩雑であることがわかった。そこで、本年度は、この解決に注力することとし、、3Dデータセットの位相unwrap処理に向けたプロトコルの検討を行なうこととした。このため、研究に若干の遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度、検討した位相unwrap処理法を用いたB1+分布計算法を構築する。この構築には、数値解析ソフトウェアMATLABを用いる。次に構築した方法の性能を評価するため、模擬試料実験を行い、試料内の3D B1+分布を測定する。次に、試料内の受信B1-分布を測定し、勾配エコー画像やスピンエコー画像などがこれらの分布で計算できるかを評価することで、B1+分布測定の妥当性の評価を行う。但し、受信B1-分布測定には、送信B1+分布の均一化をはかることができる断熱パルススピンエコー画像を用いる。模擬試料で方式開発の後、ヒト脳内の3D B1+分布測定を行なう。 そして次の年度には、ヒト脳内での受信B1-分布計算法を開発する。この方法には、比率マップ法を用いる。続いて、最終年度の延長申請を行い、ヒト脳内の3D画像均一補正を実現する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の模擬試料を用いた3D B1+分布測定法の開発では、模擬試料のためのアクリル、ガラス器具類などの消耗品が必要である。大量データの格納などのために、PC周辺機器といった消耗品も必要となる。B1+分布計算法の構築や、比率マップ法を用いたB1-分布計算には数値解析ソフトウェアMATLABが必要であり、適宜、購入、更新を行なう。つづいて、比率マップ法を用いた3D B1-計算法を開発し、3D画像の不均一補正を実現する。これらの成果をアピールするため、論文投稿や、国内外の学会発表を積極的に行う。このための別刷り代、英文校閲代、旅費などに使用する。
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Research Products
(4 results)