2013 Fiscal Year Research-status Report
高磁場MRIにおけるヒト全脳3D画像の不均一補正法の開発
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24591802
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
渡邉 英宏 独立行政法人国立環境研究所, 環境計測研究センター, 室長 (60370269)
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Keywords | 磁気共鳴 / 磁気共鳴診断装置 / 高周波磁場 / 高磁場 / 不均一分布 / ヒト脳 / 非侵襲 |
Research Abstract |
MRIでは、静磁場中で高周波磁場コイル(RFコイル)から高周波磁場(RF)を送信して磁化を励起する。そして、磁化の歳差運動によってRFコイルに誘導起電力が生じ、これが磁気共鳴信号(NMR信号)となって観測される。本年度、送信RF、すなわち送信B1の3次元分布を測定するために、マルチスライス位相差分布測定法を開発し、頭部模擬ファントムでの実験を行った。この方法で用いる2つの断熱パルススピンエコーシーケンスでは、互いの断熱パルスの周波数掃引方向を反転させる。スピンエコーシーケンスの90°パルスのパルス長を180°パルスのそれの2倍とした時、これらパルスシーケンスで得られた信号間の位相差は、送信B1強度の関数で表すことができるので、この関係を用いて、測定される位相差画像を算出し、位相差に対応するB1から送信B1分布を求める。このパルスシーケンスをマルチスライス化し、複数のスライス面からの情報を取得出来るようになった。楕円形上で製作し、塩濃度でRFコイル内の負荷を調整した頭部模擬ファントムを用いて、これらのパルスシーケンスを印加し、良好に信号が取得でき、画像化できることが確認できた。一方、上述の方法で得られた位相差画像では、送信B1強度が小さい領域では、ノイズの影響で測定される位相差が負となる領域が生ずることがある。しかし、位相差と送信B1の関係では、理論上位相差は正であるため、これまでこの位相差が負の領域の送信B1を0とするアルゴリズムとなっていた。これを克服するため、得られた送信B1分布の正の領域から送信B1分布を推定する基本アルゴリズムを提案し、2次元分布上での方式を開発した。空間2次元の多項式分布関数で、測定された送信B1分布をフィッティングする方法を試み、6次関数で良好にフィッティングできることを確認し、ヒト脳の2次元送信B1分布を求めることが出来るようになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度、3次元送信B1分布測定法の開発を目的として研究を進め、パルスシーケンスの開発、模擬試料での測定を行うことができ、これについてはおおむね順調に進めることができた。これに加えて、ノイズ影響で位相差が0以下になる領域に対する対策が必要なことがわかり、この方式の提案、開発を行った。この開発に注力したため、3次元受信分布測定、ヒト脳内3次元送信B1測定までには至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度、3次元位相分布計算の高度化を行い、送信B1分布算出の高度化を行うと共に、3次元受信分布測定、3次元比率マップ法の実証を行い、ヒト脳3D受信B1分布算出を目指す。 当初研究計画では次年度が最終年度となるが、上述に続いてヒト脳内の3D画像均一補正を実現することを目標として最終年度の延長申請を行う。これよって、本研究の目標であるヒト全脳3次元画像の不均一補正が実現できる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度、3次元送信B1分布測定がこれまでの模擬試料を用いた実験で可能となったが、位相差が負となる領域の対策を講じる必要が生じ、ソフトウェア開発に注力した。このため、3次元受信B1分布計算法を確認するための新規模擬試料、アクリル、ガラス器具類などの消耗品の購入を行わなかった。このため、次年度使用額が生じた。 次年度、3次元受信B1分布計算法を確認するための新規模擬試料、アクリル、ガラス器具などの消耗品を購入する。成果をアピールするため、論文投稿や学会発表を積極的に行う。 次年度が最終年度となるが、上述に続いてヒト脳画像の不均一性補正法を開発、実証することを目標に延長申請を行う。延長年度には、このための解析に必要な数値解析ソフトウェアMATLABなどが必要であり、適宜、購入、更新を行う。加えて、論文投稿や、国内外の学会発表を積極的に行う。このための別刷り代、英文校閲代、旅費などに使用する。
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Research Products
(11 results)