2012 Fiscal Year Research-status Report
ステントグラフト内挿術を支援する大動脈フィルターデバイスの開発に関する研究
Project/Area Number |
24591811
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
眞田 順一郎 金沢大学, 大学病院, 講師 (10313652)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ステントグラフト / 大動脈瘤 |
Research Abstract |
本年度は大動脈瘤ステントグラフト内挿術の臨床応用を中心に研究を進め、粥状硬化が高度な患者群に対する本治療によりフィルター対策を講じなかった場合においてどの程度の術中塞栓性合併症が生じるかの評価を行った。大動脈フィルターデバイスを構築するにあたり実臨床における合併症の頻度を調査することは必要不可欠であり、その評価を行った。粥状硬化の程度は個々の患者において様々であり、現時点では慎重なデバイス導入とステントグラフト留置後の慎重なバルーン圧着、および重度の粥状硬化症例においては上腸間膜動脈などの主要な腹部臓器分枝動脈のバルーンによる一時保護などを併用することで、重篤な合併症を経験していない。フィルターデバイス併用に伴うリスクを鑑みると、本デバイスの積極的な必要性に対してやや懐疑的な印象となった。 現在の実臨床における術中塞栓症予防に対する効果的な戦略として脳分離循環の積極的な導入を試みている。すなわち、頸動脈や鎖骨下動脈バイパスに対してステントグラフト内挿術中に右房脱血を行いフィルターおよび酸素化を施し遠心ポンプによりバイパスに送血する手法である。今年度に2例の実臨床例を経験し良好な成績を収めており、今後はこの手法も併用しつつ、大動脈自体のフィルターデバイス導入の是非について検討していく。高度な粥状硬化病変に対する有効な対策法が確立されていない状況下で、安全な戦略構築を模索している状況である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
重度の粥状硬化症例に対するステントグラフト内挿術を安全かつ確実に施行する手法として、単なる大動脈フィルターデバイスの開発では効果的な結果が得られない印象があった。大動脈自体の保護のみならず、主要分枝の保護や積極的な臓器保護(脳分離灌流)などを臨床に取り入れる必要を感じている。研究目的は安全なステントグラフト内挿術を目指すものであるので、より合目的な戦略の構築に時間を要している。
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Strategy for Future Research Activity |
主要分枝保護のみならず、術中の脳分離循環などを取り入れる準備をする必要がある。頚部分枝バイパス術を併用した症例などに脳分離循環を取り入れる方針で今後は臨床応用を進め、その結果として脳を含めた全身塞栓症併発のリスクが軽減されるかどうかを評価していく必要がある。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
上記計画で今後の臨床応用を進め、不十分な結果であれば積極的な大動脈フィルターの臨床応用を進める計画である。今年度に少額の未使用額が存在するが、効率的な予算執行により未使用額が発生したものである。
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Research Products
(5 results)