2013 Fiscal Year Research-status Report
ステントグラフト内挿術を支援する大動脈フィルターデバイスの開発に関する研究
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24591811
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
眞田 順一郎 金沢大学, 大学病院, 講師 (10313652)
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Keywords | ステントグラフト / 大動脈瘤 |
Research Abstract |
高度な粥状硬化を伴う大動脈疾患症例に対して安全かつ効果的な手術戦略を構築することを目的とする。目的を達成するための方策は、一つはステントグラフトを代表とする血管内治療の導入であり、他方は術中塞栓症を回避するための戦略である。ステントグラフト内挿術および留置デバイスが保険認可されている状況下でデバイス自体の工夫を行うことは困難であり、後者の術中塞栓症回避のための有効な手段を模索してきた。当初は大動脈内フィルターデバイスを積極的に導入して研究を進めていたが、広範な脳動脈塞栓症を併発した症例を経験してからは、脳分離循環を導入することによる脳保護を主体に手術戦略を構築することに方針転換してきた。脳以外の末梢塞栓症に対しては、術中に腹部臓器動脈や下肢動脈を一時遮断することで塞栓症を回避することが経験的にわかってきた。脳分離循環に関しては症例を重ねつつ、その有効性と最適な方法を検討している。循環回路としてPCPS回路を用いて頚部分枝等に術中送血することで塞栓症の回避および脳循環の維持が可能であることがわかった。唯一の問題点として、完全な脳分離には至っておらず、腕頭動脈から右鎖骨下動脈および右椎骨動脈の順行生血流は回路経由では送血できず、この領域への塞栓症併発を予防することが困難な状況である。最終的には腕頭動脈に対する対策をどうするかが問題となる。バルーン付きのシース導入など特殊な戦略を必要とするが、この残された問題点に関しては最終年度で検討したいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究目的を達成するために、研究の主体はステントグラフト内挿術中の脳分離循環法の確立と考えている。このような手術戦略を要する患者群は明らかに高危険群であり、患者数を増やすことは簡単ではなく、慎重な患者選択と治療計画を行う必要がある。臨床研究であるが故に早急な問題点解決には至らず、慎重に研究を遂行している次第である。
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Strategy for Future Research Activity |
実臨床を通して、ステントグラフト内挿術中の脳分離循環法と腹部分枝や下肢動脈の保護を併用して、術中塞栓症回避に対する有効性を評価していく予定である。また問題として腕頭動脈~右椎骨動脈に対する保護に対する対策法を講じる予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度に少額の未使用額が存在するが、効率的な予算執行により発生したものである。 来年度も適切かつ効率的な予算執行に努め、計画的に研究を進める方針である。具体的には、最終年ではあるが臨床応用を進め、ステントグラフト内挿術における補助デバイスの購入等を行いより良い臨床結果を求め、得られた知見等から研究成果をまとめ、学会論文等にて発表することを主たる目的として予算を使用する予定である。
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