2013 Fiscal Year Research-status Report
高精度・低副作用な放射線治療計画を可能とする経時的な線量分布参照システムの開発
Project/Area Number |
24591841
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
上村 幸司 香川大学, 医学部附属病院, 准教授 (00308199)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安藤 裕 独立行政法人放射線医学総合研究所, 重粒子医科学センター, 病院長 (20118904)
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Keywords | 放射線治療計画 / 線量分布 / 非線形位置合わせ / DICOM-RT |
Research Abstract |
平成25年度の研究実施計画として以下の2項目があり、それぞれの研究実績の概要を示す。 ●体表外の物体除去による位置合わせの精度向上 同一被検者の時期の異なる腹部CT画像を対象に非線形の位置合わせを行う際、体表外に描出される寝台や衣服などが位置合わせの精度低下の原因となる。本研究では、前処理として行う体表外の物体除去が、腹部CT画像の非線形位置合わせの精度改善にどの程度効果があるか評価した。まず、統計的に作成した3次元人体バイナリ画像を被検者の腹部CT画像にマッチングし、さらに、体表付近の凹凸部分をモルフォロジカル演算によって整形することで体表形状を抽出した。次に、抽出した体表形状でCT画像をマスク処理し、体表外の物体除去を行った。その後、ITK(Insight Toolkit)を用いて非線形位置合わせを行い、平均二乗誤差で精度を評価した。体表抽出は、体表に密着している一部の衣類を除き良好に行うことができた。また、前処理を行った場合、ほとんどの症例で平均二乗誤差が改善した。 ●DICOM-RTデータへの適用 線量分布の位置合わせには,DICOM-RT形式で保存されたデータを線量分布画像に変換し、非線形画像位置合わせにより求められた変形パラメータを用いて位置合わせを行う手法を開発した。まず対象画像の治療計画CT 画像に対応したDICOM-RTのPLAN/DOSE情報から、任意の座標における線量値を画素値に持つ線量分布画像を作成した。次に非線形画像位置合わせの変形パラメータを用いて線量分布画像を変形させ、基準となる治療計画CT画像に位置合わせを行った。最後に位置合わせした線量分布画像をDICOM-RT形式で保存するため、PLAN/DOSE情報に再度変換した。線量分布の位置合わせの精度評価の結果、変換前の最大線量に対する変換後の線量の差分は1~2%の範囲であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度の研究実施計画として以下の2項目があり、それぞれの達成度を示す。 ●体表外の物体除去による位置合わせの精度向上 前処理として行う体表外の物体除去が、腹部CT画像の非線形位置合わせの精度改善にどの程度効果があるか評価した。体表抽出は、体表に密着している一部の衣類を除き良好に行うことができた。体表外の物体を除去した場合、ほとんどの症例で平均二乗誤差が改善し、平均9.2%減少した。本前処理を行うことで、体表面における位置合わせの精度が向上したと考えられる。 ●DICOM-RTデータへの適用 DICOM規格では線量分布データは治療計画用CT画像の位置情報に関連付けられた形で保存されている。今回、線量分布画像の位置合わせを行うため、DICOM-RT形式の線量分布情報を疑似的に画像データに変換し、位置合わせのための変形を可能にする手法を開発した。また、線量画像の変形や、位置合わせ前後の線量の定量性を評価した結果、妥当であることが確認できた。その結果、複数回放射線治療を行った、同一被験者の治療計画を重ね合わせて表示することが可能になった。 以上のことから、おおむね順調に研究は遂行できていると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度には、開発した手法の臨床的有用性の評価を行い、成果のまとめを行う。また、粒子線治療のデータにも対応できるよう、システムの開発を行う。具体的には、以下のように行う。 ●複数回放射線治療を行った被検者を対象に本手法を適用し、位置合わせの精度、線量分布の変形の精度を評価する。その結果をもとに手法の問題点を抽出し、手法の改善を行う。 ●DICOM-RT(Ion Plan)データを対象に、本手法が適用できるようにシステムの開発を行い、粒子線治療データにも対応できるようにする。 ●最終年度として、研究成果をまとめる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
予定していた国際学会への出席を取りやめため、次年度への繰り越しを行った。 平成26年度は、成果報告のための学会出張や論文作成費用、蓄積されたデータの保管媒体や必要な消耗品などの購入を中心に研究費を使用する。
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