2012 Fiscal Year Research-status Report
新規ヒアルロン酸-ホウ素結合体を用いたホウ素中性子捕捉療法の開発
Project/Area Number |
24591855
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hiroshima International University |
Principal Investigator |
笠岡 敏 広島国際大学, 薬学部, 講師 (90338690)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | BNCT / ヒアルロン酸 |
Research Abstract |
本年度はホウ素化合物結合ヒアルロン酸ナノパーティクル(B-HA-NP)の調製を重点的に行った。sodium borocaptate (BSH)のチオール基とヒアルロン酸のヒドロキシル基に対するヘテロ架橋剤を介してBSHを結合させ、その反応条件を詳細に検討した。従来のB-HA-NPのホウ素含有量は1,600ppm程度であったのに対し、新規調製したB-HA-NPは用いるヒアルロン酸分子量に依存して、M.W.4 k、80 k、 960 kでそれぞれ8,050 、6,100、2,800 ppmであった。また、B-HA-NPのピレンを用いたCACは、同じ分子量で比較すると0.297 0.300 0.772 mg/mLであり、自己集合性の集合体の形成が確認できた。このB-HA-NPの平均粒子径は同様に用いるヒアルロン酸の分子量によって異なり、44.2、78.5、134.6 nmであった。B-HA-NPの安定性を検討すると、pH7.4、4℃の保存状況では13 dで95%以上のホウ素が保持されており、37℃血清中においても、36 hで95%以上の保持効率を示し、安定性が確認された。また、ヒト皮膚繊維芽細胞への毒性試験の結果から、ホウ素濃度として50 ppm以下の実験条件では正常細胞への毒性は確認できなかった。B-HA-NPにローダミンを結合させることで、メラノーマ細胞内への取り込みが確認でき、京大原子炉においてコロニー形成アッセイによるBNCT効果の検討を行った結果、分子量80 k、 960 kのB-HA-NPではBSH溶液群よりも有意に高い抗腫瘍効果を得ることができた。また、B-HA-NPにエレクトロポレーションを併用すると、細胞内のホウ素濃度は1.9-4.2倍に上昇した。このことから、エレクトロポレーションによる細胞膜穿孔形成が、有望なホウ素送達手段であることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ホウ素化合物結合ヒアルロン酸ナノパーティクルの調製とそのキャラクタリゼーションはほぼ終了した。エレクトロポレーションを併用することによる導入効率の改善もみられた。
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Strategy for Future Research Activity |
現在みえてきた課題が、ホウ素化合物結合ヒアルロン酸ナノパーティクル受容体を介したエンドサイトーシス依存的に腫瘍細胞内に取り込まれるために、エレクトロポレーションを併用しない場合、細胞内濃度を劇的に向上させることが困難であるという点である。そこで今回調製したホウ素化合物結合ヒアルロン酸ナノパーティクルに細胞透過ペプチドを結合させ、送達効率をさらに向上させる手法を検討している。 この新しい試みを付加したナノパーティクルと今回調製したナノパーティクルについて、in vivoを含めたBNCT効果の検討を行っていく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
試薬として新たに細胞透過性ペプチドを購入する予定である。また、ホウ素化合物として用いているsodium borocaptateを4g購入する。その他、細胞培養関連の消耗品を購入する。
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Research Products
(1 results)