2013 Fiscal Year Research-status Report
癌幹細胞を標的とした消化器癌の重粒子線治療の基礎的研究
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24591858
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Research Institution | National Institute of Radiological Sciences |
Principal Investigator |
崔 星 独立行政法人放射線医学総合研究所, 重粒子医科学センター, 主任研究員 (20342735)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上條 岳彦 千葉県がんセンター(研究所), 発がん制御部, 部長 (90262708)
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Keywords | 膵臓癌 / 癌幹細胞 / 重粒子 |
Research Abstract |
本年度では、重粒子線単独或はGemcitabine併用時の放射線抵抗性、再発や転移と強く関与するとされる膵癌幹細胞及び移植腫瘍に対する影響を調べた。ト膵臓癌細胞株を用い、超高速セルソーターにて癌幹細胞を分離・同定し、これら癌幹細胞に対して、X線、炭素線単独或はGemcitabineとの併用によるcolony、spheroid形成能、apoptosisやautophage誘導やDNA損傷の違いを調べ、また移植腫瘍に対する増殖抑制や治癒率の違いについて比較検討したところ、CD44+/ESA+、CD44+/CD24+細胞が癌幹細胞性質を有することがcolony、spheroid形成能及び腫瘍形成能が有意にCD44-/ESA-、CD44-/CD24-細胞より高いことから確認された。癌幹細胞の割合はX線、炭素線照射単独に比べ、Gemcitabineとの併用時に著しく上昇したが、colonyとspheroid形成能は顕著に低下した。そして、炭素線とGemcitabineとの併用はX線のものに比べapoptosis 関連遺伝子BAX、Cytochrome cやautophagy関連遺伝子LC3、 p62等の発現をより顕著に上昇させた。また、X線に比べ炭素線照射24時間後でより多くのDNA損傷マーカーγH2AX fociの残存が認められ、Gemcitabine併用時はさらに増加した。照射1ヶ月後の病理所見では、炭素線25Gy単独照射に比べGemcitabine併用時の腫瘍細胞の繊維化、空洞化が顕著であり、血管新生もより乏しくなり、X線60Gy照射に比べより強い腫瘍増殖抑制や高い治癒率が認められた。以上より、炭素線とGemcitabine併用は炭素線単独に比べ、比較的低い線量でも膵癌幹細胞に対しより強いDNA損傷を与え、apoptosisやautophagyを誘導し、より高い腫瘍抑制効果と治癒率をもたらすことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験手技は確立され、当初の計画とおり重粒子単独とGemcitabine併用による膵臓癌幹細胞に対する影響についての論文は現在JNCI誌に投稿中である。
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Strategy for Future Research Activity |
さらに新しい実験手技の取り込みにより、予想以上の成果をあげるよう努力する。
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Research Products
(14 results)