2013 Fiscal Year Research-status Report
伸展刺激によるがん転移ー浸潤制御機構の解明:TRPV2のストレッチシグナル伝達
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24591865
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
長澤 雅裕 群馬大学, 生体調節研究所, 助教 (50343083)
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Keywords | TRPV2チャネル / カルシウム / 機械刺激 |
Research Abstract |
細胞膜直下の細胞内カルシウム動態を測定する高感度Ca2+センサーとしてYC-nano-pmプローブを作製した。さらに細胞接着部位を可視化するために、アクチン、ザイキシンに蛍光標識したプローブも作製した。これらを用いて、がん細胞伸展による接着構造の形態変化と細胞内Ca2+変動との相関を時間・空間的に明らかにしつつある。TRPV2チャネルは細胞伸展刺激に伴いPI3-キナーゼ依存性、アクチンの重合に依存して、細胞伸展部位にトランスロケーションすることがわかった。そこで、さらに、アクチンと相互して接着斑を構成する分子、インテグリン、ビンキュリン、パキシリン、FAK、ザイキシン等の分子群に蛍光たんぱくを付加し可視化して接着構造の変化を検討している。ビンキュリンは、細胞接着の主要分子であり、アクチン、テイリン、PIP2などの分子と相互作用して、細胞運動・接着変化に伴い立体変化を起こす。そこで、ビンキュリン分子に蛍光ラベルして細胞運動・接着に生じるビンキュリン立体構造変化をモニターして、接着斑のダイナミックな変化を観察し、さらに、細胞伸展センサーのプローブを作製した(ビンキュリン・コンフォメーションプローブとビンキュリン・テンションセンサープローブ)。コンフォメーションプローブも細胞伸展部位で活性化されるのを見いだしている。ビンキュリン・テンションセンサープローブでさらに検討を加えている。これらのセンサーを併用して、細胞のどこにどの程度の伸展刺激が加わると、どこでどのようなカルシウムシグナルが産生されるかとくにTRPV2の動態と関連させて伸展刺激によるTRPV2チャネルの制御機構、それらとCa2+産生の動態を総合的に解析し、TRPV2によるストレッチシグナルを解析している。また、併行してTRPV2ノックアウト・マウスを作製し、動物モデルでもTRPV2の機能も解析している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
さまざまなプローブを作製して、機械刺激にともなうカルシウムシグナル、TRPV2トランスロケーション、細胞瀬着斑のダイナミックな変化をモニターできている。またTPV2のノックアウトマウスの作製も順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
がん細胞の機械刺激におけるTRPV2チャネルの役割とさらに、TRPV2のノックアウトマウスを利用して、細胞伸展、機械刺激におけるTRPV2の生理的な意義を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
TRPV2ノックアウトマウスを作成中であるが、動物実験施設改修工事に伴い、動物を飼育するスペースが限られて、実験に必要な十分な個体数を繁殖・維持するのが難しく、動物実験およびそれによる研究の解析が制限されている。 動物実験施設の改修が終了して、平成26年6月からは動物実験を行うための、スペースが確保できる見通しである。それに伴い、当初の予定から遅れていた動物実験を再開させる。
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Research Products
(1 results)