2012 Fiscal Year Research-status Report
生体の持つ抑制性液性免疫システムを利用した慢性拒絶反応の新しい治療戦略
Project/Area Number |
24591874
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
羽根田 正隆 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (50436995)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩崎 研太 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (10508881)
小林 孝彰 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70314010)
三輪 祐子 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (90572941)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 移植免疫 / 慢性抗体関連型拒絶反応 / donor specific antibody / ABO血液型 / 形質細胞 / 超可変領域 / IgGサブクラス |
Research Abstract |
1.患者検体よりDSA産生形質細胞の培養を行う:名古屋第二赤十字病院にて腎臓移植を受けた患者のうちde novo DSA陽性症例12症例の末梢血B細胞をIL-2,10,15,CpG-ODN2006,CD40Lを添加した10%FBS入りIMDM培養液で10日間の培養したところ、全例で培養上清中にIgGを認めた。形質細胞の分化マーカーであるCD138の発現については0.0~28.23% (中央値1.63%)であった。患者検体でも抗体産生細胞まで分化誘導可能である事は確認出来たがsigle antige beadsでDSA陽性が確認できたのは2例に留まり、この方法では検査系としては不十分である事が判明した。すべてのB細胞が形質細胞まで分化誘導出来ない事、末梢血中のDSAをBCRに持つメモリーB細胞の存在比率が低い可能性が考えられた。 B細胞を分化せず増殖する培養系が必要と考え、東京理科大学の北村大介先生よりBalb3T3にCD40LとBAFFを発現させた細胞株を分与して頂き、B細胞を共培養させることによりメモリーB細胞を培養増殖出来ることを確認した。現在培養したB細胞の細胞表面BCRを分離しDSAについて解析中である。 2.抗ABO抗体産生形質細胞を得る:末梢血B細胞から抗ABO抗体産生形質細胞を分化誘導する方法について、過去に報告があるが現在までのところ確実に培養できる実験系は存在しない。我々はまず血液型A型健常人2名より末梢血B細胞を得て上記培養方法で分化誘導を試みたところ、day10の培養上清中に抗BIgM抗体の存在を認め、培養可能である事が確認できた。 3.サブクラススイッチ:抗AIgM抗体産生細胞株(ATCC:HB-8534)を購入し、BCRの超可変領域の遺伝子配列を解析、In vivogen社IgG1,4 expression vectorに遺伝子組み換えを行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
健常人ではIgG産生細胞まで分化誘導できる実験系を用いれば、DSAを検出する検査法として利用可能と考えたが、DSA検出系としては不完全である事が判明した。原因として、1.すべてのB細胞が形質細胞まで分化誘導できる訳ではない事、2.末梢血中のDSAをBCRに持つメモリーB細胞の存在比率が低い事が考えられた。1.については他のサイトカイン(BAFF,APRILなど)を添加する事で効率よく分化誘導できないか試みた。しかしながら、現在までのところ見い出せていない。2.についてはBCRのポピュレーションを維持したまま、増殖させる方法がないかを検討した。CD40Lを強発現したNIH3T3を用いた場合、ナイーブB細胞は増殖できるがメモリーB細胞は増殖出来なかったが、マウスCD40LおよびBAFFを発現するBalb3T3を用いて、メモリーB細胞を増殖させる事を確認出来た。この培養法により末梢血中にどのくらいの割合でDSAに対するBCRを持つB細胞が存在するのかを確認する事ができると考えられる。また存在するのであれば増殖させて単離しDSAに対するBCRの遺伝子を取り出すことも可能となる。 また形質細胞分化誘導系は抗ABO抗体を産生する形質細胞へ分化誘導できる事を確認できた。 BCRの超可変領域から遺伝子配列をクローニングすることが出来た。同様の手順を行う事により、今後得られた細胞株よりB細胞のIgHおよびIgK,Lの超可変領域をクローニングする事が可能となる。また得られた超可変領域をIgG1,2,3,4 expression vectorに遺伝子組み換え、IgK配列もexpression vectorに組み込む技術を確立できた。今後形質細胞腫株NS0にIgHおよびIgKをco-transfectする技術が確立出来れば、今後新たに得られた細胞株よりサブクラススイッチを行う事が出来る。
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Strategy for Future Research Activity |
DSAに反応するBCRを持つB細胞については、BCRのポピュレーションを維持したまま増殖させ、目的のBCRを持った細胞群が存在するかをsingle antigen beadsで確認する。またflow PRAを用いてDSAを認識するBCRを持ったB細胞をフローサイトメーターでソーティングしサブクローニングを行う。単離後にもう一度細胞を増殖、サブクローニングを繰り返し、DSAに反応するBCRを持つB細胞に純化する。 抗ABO抗体を産生するB細胞についてはABO糖鎖が付加したBSAを用い、抗BSA抗体を用いてフローサイトメーターでソーティングしサブクローニングを繰り返し、ABO糖鎖に反応するBCRを持つB細胞に純化する。 得られたB細胞よりBCRの超可変領域の遺伝子配列をクローニングを行いIgHおよびIgK,Lの超可変領域をクローニングする。また得られた超可変領域をIgHg1およびg4 expression vectorに遺伝子組み換え、IgK配列もexpression vectorに組み込み、形質細胞腫株NS0にIgHおよびIgKをco-transfectする。 IgHおよびIgKあるいはIgLをstable transfectし安定的にDSAおよび抗ABO抗体を発現する細胞株を大量培養する。 IgG4DSAあるいはIgG4抗ABO抗体による免疫応答制御試験を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
細胞の大量培養:NS0にstable transfectしたIgG4化抗体産生細胞株を用いて細胞を大量培養し抗体を産生させる。 IgG4化抗体による免疫応答制御試験:末梢血B細胞をヒトCD40L発現NIH3T3細胞上で培養を行った場合に、ガン化せず無限に増殖できるCD40B細胞が得られる(J. Immunol.2002;169:2164-2171,この培養技術については、当教室でも確立している)。このCD40B細胞はHLA Class Iおよびclass IIが高発現しているため、ドナー細胞をターゲットとして細胞障害試験を行うことが出来る。また我々の研究室においてABO糖鎖を発現させた血管内皮細胞株EAhy926があり、これを抗ABO抗体の細胞傷害試験のターゲットとして用いる。 方法はPanel Reactive Antibody Screening法を応用し蛍光色素(C-FDA)を用いてドナー及びコントロールCD40B細胞あるいはABO糖鎖発現血管内皮細胞株EAhy926を染色し、DSA陽性患者血清あるいはO型血清を反応させウサギ補体を添加し、細胞障害を引き起こすか判定する。さらにIgG4 DSAあるいはIgG4 ABO抗体を添加し細胞障害が制御されるかを解析する。
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Research Products
(6 results)
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[Journal Article] Comparative Study on Signal Transduction in Endothelial Cells after Anti-A/B and HLA Antibody Reaction: Implication of Accommodation2012
Author(s)
Iwasaki K, Miwa Y, Ogawa H, Iwamoto M, Furusawa T, Onishi A, Kuzuya T, Haneda M, Watarai Y, Uchida K, Kobayashi T
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Journal Title
Transplantation
Volume: 93
Pages: 390-397
DOI
Peer Reviewed
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