2012 Fiscal Year Research-status Report
成人生体肝移植の革新:幹細胞導入下の過少グラフトを用いた肝移植
Project/Area Number |
24591878
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小川 晃平 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10359789)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上本 伸二 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (40252449)
寺谷 工 自治医科大学, 医学部, 講師 (70373404)
藤本 康弘 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (80335281)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 肝移植 / 臓器保存 / 間葉系肝細胞 |
Research Abstract |
まず、Lewisラットにて、MSCsの虚血再還流障害に対する効果を評価した。30%部分肝に60分の血流遮断を行い、その後、80%部分肝を切除した。その直後、MSC群はMSCs 2×106個/ET-Kyoto 500μl、コントロール群はET-Kyoto 500μlを陰茎静脈より投与した。1週間の生存率、術後24,48,168時間の血液生化学検査データ、術後1日目および2日目の肝組織、肝再生率の評価を行った。術後2日目の血液生化学検査においてAST, ALT, T-BilはMSC群で有意に改善され、肝再生率もMSC群で有意に高かった。以上から、MSCの虚血再還流障害の軽減、肝再生促進効果が示唆された。 次いで、ラット肝移植モデルでMSCsの効果を検討した。ドナーラットをUW液にて灌流、全肝グラフト採取を行い、UW液にて4℃・18時間保存した。グラフト肝をレシピエントにput-inする直前に1x10(6)個のMSCsを門脈内に充填し、門脈にクランプをかけた。全肝摘出したレシピエントにput-inの後、肝静脈、門脈、胆管の順に吻合し、全肝移植を行った。MSCs投与群、コントロール群を各々n=8ずつ施行し、術後7日間の生死にて評価した。その結果、無肝期は16.8+-0.5分(MSCs群)、16.4+-0.9分(コントロール群)、IVCのクランプ時間は28.9+-1.0分(MSCs群)、27.9+-1.1分(コントロール群)でいずれも、有意差を認めず。術後7日目での生存は7/8(MSCs群)、3/8(コントロール群)であった。コントロール群では移植後3~6日目で死亡しており、剖検時には胸水、腹水が著明であった。以上より、長時間保存グラフトによるラット肝移植実験において、MSCsの門脈内投与により肝障害が軽減され、肝不全を防ぐことができる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた、間葉系幹細胞の樹立、培養は順調にすすんでおり、また、ラットに投与した際、明らかな副作用は認めなかった。虚血再還流障害モデルにおいて、肝障害軽減、肝再生促進を認めた。また、移植モデルにおいて、有意な生存率改善を認めた。これは、当初の予定を上回る結果と考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
移植において、部分肝移植モデルを用いてMSCsの評価を進めていく予定である。その際、MSCsによる門脈塞栓の影響を低減することと、より臨床に即したモデルでの検討のため、肝動脈再建モデルで評価をする予定である。 評価には、生存率、血液生化学テータ、IVISを用いる。 さらには、大動物モデルでの検証へと進む予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
細胞培養、exosome分離のための、試薬類などに予算の1/3を用いる予定である。また、ラット移植モデル作成、検体作成、標本作製に残り2/3を用いる予定である。
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