2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24591879
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
吉澤 淳 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (60457984)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 肝移植 / 液性免疫 |
Research Abstract |
Retrospective studyによる血液型抗原に対する免疫寛容成立の証明として、血液型不適合肝移植後患者の群別を行い、1歳未満、1歳―14歳、15歳以上の3群である。さらに、成人症例に対しては京都大学の今までの様々なプロトコールについて検討し、B細胞をdeletionするRituximabの投与の有無、形質細胞の除去を含めた免疫反応の制御を目的とする脾摘術の有無、プロスタグランディンの局所注入療法の免疫反応への影響を考慮して、①脾摘+局所注入療法群、②脾臓温存+局所注入療法、③Rituximab+局所注入療法、④Rituximabのみにわけて、遠隔期における末梢血中血液型抗原に対する抗体価の測定を行った。周術期の抗体価の上昇との関係を含め、現在分析中である。原則的にどの群においても、相対的に血液型抗体価は低値になっていた。しかし、さらに、低年齢に移植をした症例については有意差を持って血液型抗体価が低値になっていた。 末梢血中のB細胞について、FACSで解析を行い、memory B細胞、naïve B細胞、B1細胞、制御性B細胞の測定を行ったが、それぞれの群におけるクラスターの分布を調べたが、特に有意差を認めなかった。 さらに、現在、血液型抗原に特異的に反応するB細胞の同定を行うために、末梢血中のB細胞を血液型抗原で染色する方法を開発している。既存の論文と異なり、非特異的反応をコントロールするための条件設定を行っている。併せて、凝集反応を目視で確認する血液抗体価の測定方法をさらに、数値化できるように、FACS,ELISAによる測定系の開発を並行して行っている。 血液型抗体価に併せて、ドナー特異的抗原に対する反応をするB細胞の機能解析として、抗HLA抗体についても、同様の実験系の確立を試みているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度では、患者血液からの抗原特異的B細胞の同定および、測定を行う予定であったが、試薬の変更などの条件の変更に伴い、非特異的反応が生じているため、より確実な実験結果を得るために、慎重に条件の再設定および、実験系の改善を試みているため、その過程がやや遅れている。 患者群の群別および、遠隔期の末梢血中の抗体価の測定および、ABO不適合移植の術後抗体関連型拒絶反応との関係については、予定通り、情報収集は進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
血液型抗原特異的B細胞の同定の実験系の確立と、測定を進める。あわせて、血液型抗原に対する抗体量の客観的測定と数値化の系の確立を行う。 Retrospective studyを進めながら、prospective studyへすすめていく。B細胞の変化とRituximab投与の効果の確立、術前の末梢血の解析と術後、抗体関連型拒絶反応の発症のリスク分析への応用を開発する。 さらに、組織免疫科学染色を用いて、抗体関連型拒絶反応の診断と検出方法の確立、および、移植肝の免疫原性について検討を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
血液型抗原に特異的に反応するB細胞の同定を行うために、末梢血中のB細胞を血液型抗原で染色する方法を開発を引き続き進める。併せて、現在行っている凝集反応を目視で確認する血液抗体価の測定方法をさらに、数値化できるように、FACS,ELISAによる測定系の開発を並行して行う。昨年度のretrospective studyの検討症例数をさらに増加させ、prospective studyも追加して行う。本年度はそれに加えて、移植肝組織の抗原性の評価のため、組織免疫化学染色による、移植肝の血液型抗原の発現の評価及び、術後の抗体関連型拒絶反応の評価のための補体系および免疫グロブリンの染色を行う。 昨年からの繰り越し金を利用し、現在の研究課題である血液型抗体価に併せて、液性免疫の免疫寛容のメカニズムの解析および、抗体関連型拒絶反応の制御に深くかかわることが判明したドナー特異的HLA抗原に対する反応をするB細胞の機能解析として、抗HLA抗体の産生、および抗HLA抗原特異的B細胞の同定および制御に関する研究についても、同様の実験系の確立も併せて行い、組織免疫化学染色を併用して課題である、液性免疫の免疫寛容のゴールである抗体関連型拒絶反応の網羅的制御に関する研究に発展させる。
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Research Products
(1 results)