2013 Fiscal Year Research-status Report
消化器癌における腫瘍特異的メモリー細胞能動的誘導法の開発
Project/Area Number |
24591887
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
庄 雅之 奈良県立医科大学, 医学部, 准教授 (50364063)
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Keywords | 腫瘍免疫 / 癌免疫療法 / T細胞 |
Research Abstract |
【HVEM発現】これまでの一連の研究成果に基づき,新たなT細胞機能調整因子として,TNF受容体superfamilyのひとつであるherpes virus entry mediator(HVEM)に注目し,ヒト食道癌における臨床的意義を検討した.食道癌103例で免疫組織染色を行った.その結果,HVEM高発現群43例(41.7%)は低発現群と比してT因子,N因子ともに進行症例が多かった.病期も同様に高発現群は低発現群より有意に進行症例が多かった.全生存率は高発現群で有意に不良であった.また,腫瘍内浸潤リンパ球数は,高発現群ではCD4+,CD8+,CD45RO+T細胞数が有意に少なかった.ヒト食道癌におけるHVEM発現の臨床病理学的意義が明らかとなった.腫瘍上のHVEMは宿主の抗腫瘍免疫を抑制することで増殖・進展に関与しているものと考えられ,新たな治療標的分子となり得る可能性が示唆された. 【ETBR発現】食道扁平上皮癌におけるEndothelin receptor type B (ETBR)の臨床的意義を明らかにすることを目的とし,腫瘍増生に関与する機序について解析した.食道癌手術標本107例を用いて,免疫組織染色を行い,検討した.その結果,ETBRは57%の食道癌の細胞質中に強発現が認められた.また,ETBR高発現腫瘍では低発現腫瘍と比較し,腫瘍径,壁深達度,リンパ節転移,脈管侵襲等のいずれにおいても,有意に進行例が多く認められた.さらに全生存期間では,ETBR高発現群が,低発現群に比し有意に不良であった.多変量予後解析の結果,ETBR発現レベルは,独立予後因子であった.ETBR発現レベルは腫瘍内の新生リンパ管密度やTILとは関連を認めなかった.一方,血管新生とは有意な関連が認められた.今後,ETBRを標的とした治療が,新たな治療戦略として期待できるものと思われた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画を全て完遂できている訳ではないが,概ね順調に進んでおり,前年度の研究成果に基づき,さらに研究を進めた.その結果,英文論文として,数編発表し得た.さらに発展的研究を進めており,次年度の研究成果に結びつけたいと考える.
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画に沿って,これまでの研究成果に基づき,さらに基礎的,臨床的研究を進めて行く予定である.研究計画の変更は現時点では必要ないものと考える.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
おおむね計画通り研究を進めることができたが、端数が生じてしまった. 平成25年度使用残額を消耗品購入に充てる.
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