2012 Fiscal Year Research-status Report
膵島移植のための遺伝子導入のない成熟膵腺房細胞リプログラミングの包括的検索
Project/Area Number |
24591893
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Clinical research Center, Chiba-East National Hospital, National Hospital Organization |
Principal Investigator |
浅野 武秀 独立行政法人国立病院機構(千葉東病院臨床研究センター), その他部局等, その他 (80143311)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 一史 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (00586737)
剣持 敬 藤田保健衛生大学, 医学部, 教授 (50215133)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 幹細胞 |
Research Abstract |
(1)マウス膵腺房細胞分離至適条件の検討 CD1マウス膵からの膵腺房細胞組織培養の至適条件の検討を行った。CD1マウス膵腺房から麻酔下に膵を摘出したのちにPBS内での洗浄を行った後2-3mm大に細切した。細切した組織はコラゲナーゼPを加えたPBS内で10分間振盪したのち30%FBSを加えたPBSで遠沈し、10%FBSを加えたDMEM培地で培養した。リコンビナントEGFを50ng/mlの濃度で加えた。ゼラチンコートを加えた培養皿で培養することにより、約1週間の経過で腺房細胞は一度スフィアの形成を生じたのちに、線維芽細胞様の細胞に変化した。線維芽細胞様の形態をした細胞は、遊走能および増殖能をもち、凍結保存も可能であった。線維芽細胞様の細胞は膵由来幹細胞の候補であり、さらに詳細な解析が必要であると考えた。 (2)膵幹細胞様細胞のプロファイリング 線維芽細胞様の遊走する細胞の性質を調べるために免疫染色を行った。腺房細胞はE-cadherin(+), Cytokeratin(+)であるのに対し線維芽細胞様の細胞はnestin(+), vimentin(+)であり、リプログラミングおよびepithelial-mensenchymal transitionが同時に生じていることが示された。Nestin(+)であることから、幹細胞様の細胞であることが示唆された。当面この細胞を膵幹細胞様細胞と呼ぶ。さらに詳細に解析するために分離直後の腺房細胞および培養7日目の細胞からmRNAを分離しマイクロアレイ解析を行うことにした。Affymetrix社のMouse 430アレイを用いてmRNAの包括的解析を行った。結果は多数の遺伝子発現の変化が認められ、プレゼンスコールの解析で2倍以上の発現上昇を認めたものは2216プローブ、0.5倍以下の発現低下を認めたものは4174プローブだった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
マウス腺房細胞組織培養系の至適条件の確立に予想以上の実験回数を必要としたが解決した。また、免疫染色条件の設定にも予想以上の時間が必要だったが解決した。RNaseが極めて豊富な膵組織からのRNA抽出は困難であったが解決した。
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Strategy for Future Research Activity |
(1) バイオインフォマティックス解析による、幹細胞変化の責任パスウエイの探索 マウス膵腺房細胞から幹細胞様細胞への変化に関する包括的遺伝子発現変化のデータは入手済みであり、今後はバイオインフォマティックス解析によるパスウエイ解析から今回の変化に主要な役割を果たしているパスウエイを同定する段階に移行する。現在の候補はCD44パスウエイであり、摘出直後の腺房細胞ではほとんど発現していないが、膵管細胞様細胞では発現比96.9と非常に大きな変動を示している。プレリミナリーな検討では、論文情報によるデーターベース検索で、CD44ファミリーはインテグリン、RhoファミリーGタンパク、NF-kBなどの生物学的に重要なパスウエイと関連している。今回の変化の生物学的解釈を容易にするために、膵発生に関する遺伝子群の変化の検討なども行う予定である。(2) CD44発現の免疫組織学的検討CD44の発現パターンは、プレリミナリーな結果では膵幹細胞様細胞ではなく、一段階前のスフィアに発現が強い傾向が見られた。これは、幹細胞マーカーとしてではなく、幹細胞を誘導する過程で重要な役割を果たしている可能性があり、この結果を確認していく必要がある。(3) 再分化による膵幹細胞様細胞の可塑性の検討 我々の得た膵幹細胞様細胞の分化能を検討する必要がある。nicotiamide, All trans retinoic acidなどの分化誘導を報告されている分子を用いて、分化条件を検討する
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
マウス、試薬、抗体、細胞培養液、プラスチック器具、マイクロアレイ解析費などほぼ申請通りに使用する計画である。
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Research Products
(1 results)