2012 Fiscal Year Research-status Report
癌胎児性抗原特異的キメラ抗原受容体導入T細胞による消化器癌治療法の開発
Project/Area Number |
24591899
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
王 立楠 三重大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任助教(研究担当) (00589484)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 琢磨 三重大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (60224515)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | キメラ抗原受容体 / がん治療 / 複刺激シグナル分子 / 癌胎児性抗原 |
Research Abstract |
本研究では、大腸がん患者治療を目的として、癌胎児性抗原CEAを標的とした、GITRを含む様々な副刺激分子のシグナル伝達ドメインを付加したCAR導入T細胞を作製し、重度免疫不全マウスであるNOD/SCID/γc-/-(NOG) マウス及びCEAトランスジェニックマウスを用いたin vivo評価系を樹立することにより、安全で有効なCAR導入T細胞療法の開発を目指す。本年度は、様々な副刺激分子由来の細胞内シグナル伝達ドメインを付加したCEA特異的CARレトロウイルスベクターコンストラクトを作製し、それを用いて調製したCAR導入ヒト末梢血T細胞のin vitroにおける機能評価を行なった。並行してNOGマウスを用いてin vivoにおける抗腫瘍効果を評価し、以下の結果を得た。 (1)In vitroにおける機能評価 複数種類の副刺激分子CD28、GITR、ICOS、4-1BBのシグナル伝達ドメインを含むCEA特異的CARのヒト末梢血T細胞への導入効率を比較検討した。その結果、CD28ないしGITR副刺激シグナルを含む CARコンストラクトが、導入率・発現強度の点で優れていた。また、その際のレトロウイルスコピー数は最少で、安全性が高いことも示唆された。さらに、in vitroにおいて抗原特異的活性化によるサイトカイン産生能並びにCEA陽性・陰性腫瘍細胞株に対する腫瘍細胞傷害性が高いCAR導入T細胞を得ることができた。 (2) In vivoにおける抗腫瘍効果評価 次にin vivoでの有効性を評価する目的で、ヒト癌細胞が生着可能なNOGマウスにCEA陽性胃癌細胞株MKN45を接種すると同時にCEA特異的CAR導入T細胞を輸注し、腫瘍縮小効果を評価した。その結果、CD28(28z)もしくはGITR(zG)を含むCARを導入したヒトT細胞の抗腫瘍作用を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
応募内容に基づいて、平成24年研究計画は全て完成している。
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Strategy for Future Research Activity |
(1) マウス型CEA特異的CARレトロウイルスベクターコンストラクトの作成とマウスT細胞への導入 NOGマウスにヒトT細胞を移入すると、最終的には移植片対宿主病(GVHD)を発症してしまい、長期のわたるCAR導入T細胞の有効性や安全性を評価することはできない。したがって、CAR導入マウスT細胞を用いた移入治療モデルが必要である。そこで、CEA特異的CARのシグナル伝達ドメインの遺伝子を全てマウス相同遺伝子と変換したマウス型CARレトロウイルスベクターを作製し、マウスT細胞への導入を行う。導入条件の検討にはCAR陽性率と発現強度を指標にして行う。 (2) マウス型CAR導入マウスT細胞のin vitro機能評価 マウス型CAR導入マウスT細胞を用いて、in vitroにおけるCEA陽性マウス大腸癌細胞株に対する以下の総合的機能解析を行なう。a) in vitroにおける細胞増殖/腫瘍傷害性。b) 抗原特異的サイトカイン産生性。c) 活性化細胞誘導死(AICD)抵抗性 (3)ヒトと同様のCEA発現様式を持つCEA トランスジェニックマウス(CEA-Tg)を導入し、移植腫瘍と大腸発がんモデルを用いたCAR導入T細胞の有効性と安全性評価 CEA-Tgマウスに発がんイニシエーターであるアゾキシメタン(AOM)を腹腔内前投与、さらにデキストラン硫酸ナトリウム(DSS)反復投与し、大腸炎症の再燃と寛解を繰り返す潰瘍性大腸炎に合併する大腸癌を摸したマウスモデルを作成する。マウス型CARコンストラクトを導入したマウスT細胞をAOM投与14週後のマウスに移入した後、経時的に大腸/腸管膜リンパ節/粘膜固有層を採取し、大腸癌の増殖抑制効果を確認すると共に各臓器の組織切片をH&E染色や免疫染色法を用いて解析し、腫瘍縮小効果を確認すると共に移入されたCAR陽性T細胞の局在と合併症の有無を解析する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
NOGマウスの購入と飼育、試薬と抗体の購入。
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