2012 Fiscal Year Research-status Report
乳癌におけるMACC1の解析、特にERalphaとの関連についての解析
Project/Area Number |
24591909
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
山本 豊 熊本大学, 医学部附属病院, 特任准教授 (20398217)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
指宿 睦子 熊本大学, その他の研究科, 助教 (30448526)
岩瀬 弘敬 熊本大学, その他の研究科, 教授 (40211065)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | MACC1 |
Research Abstract |
①臨床検体を用いた検討 原発乳癌組織300例において、qRT-PCR法でMACC1、cMet、HGFmRNA発現を、IHC法でMACC1タンパク発現を検討した。正常組織と腫瘍組織で各因子のmRNA発現を比較検討した。cMet、HGFでは腫瘍組織で有意に発現が高い傾向であったが(Wilcoxon P<0.001)、MACC1においては両者で有意差を認めなかった。MACC1mRNA及び蛋白高発現で有意に予後が良好であった(Log-rank P=0.0371)。triple-negativeではMACC1低発現が多く見られた(P=0.04)。ER, PgRとMACC1発現とは関連がなかった。また、MACC1蛋白発現と、cMet mRNA発現に相関はなかった。 ②乳癌細胞株を用いた検討 各サブタイプの細胞株よりmRNAを抽出し、MACC1、cMet、HGF発現をそれぞれ検討した。MACC1発現は、HER2タイプの細胞株(MDA-MB-453, SKBR3)で高い傾向であった。Triple-negativeタイプであるMDA-MB-231では低発現であったが、その他の細胞株では、いずれも正常乳腺細胞株(HMEC)より高発現であった。タンパク発現は大腸癌細胞株DLD-1と比べ、乳癌細胞株では全体的にMACC1発現が低い傾向にあった。 MCF7、MDA-MB-468細胞株において、siRNAによるMACC1遺伝子発現抑制を行った。WSTアッセイを用いて癌細胞の細胞増殖能を、スクラッチテストにより遊走能を、Matrigel invasionアッセイにより遊走・浸潤能の変化をそれぞれ検討した。MCF7細胞株においてMACC1mRNA発現を60-70%抑制させたところ、細胞形態、増殖能、遊走・浸潤能、いずれも変化は見られなかった。またHGF/cMetのmRNA発現も変化は見られなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1)乳癌におけるMCC1-cMet-HGF系発現の意義について a) 乳癌細胞株を用いた検討 各サブタイプ毎の細胞株を用いて、MACC1およびcMet発現を検討し、MACC1が発現株ではsiRNAによる遺伝子発現抑制を行った。また、MACC1発現のない細胞株には遺伝子導入を現在試行中である。各細胞株での遺伝子調節後、cMet発現の変化を検討した。さらに、癌細胞の遊走、浸潤、増殖について検討した。 b) 臨床検体を用いた検討 乳癌組織300例を用いてMACC1発現とcMetおよびHGF発現との関連性を検討する。特に乳癌サブタイプ別にこれらの因子発現につき検討した。また、予後についても検討した。 検討内容の結果は研究実績の概要に記載の通りである。
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Strategy for Future Research Activity |
当初、臨床検体100例の検討結果からはERとMACC1の関連を考えていたが、300例に症例を増やし、再検討したところ、ERとMACC1との関連性が高くないことが判明した。しかしながら、MACC1高発現は独立した予後良好因子であることが示された。他の癌腫と何故結果が異なるかを細胞株を用いて検討する。大腸癌に比べ乳癌でのMACC1発現は低いため、MACC1発現のない細胞株に遺伝子導入し、癌細胞の遊走、浸潤、増殖について検討する。また、独立した予後良好因子であるが、患者背景はすべて治療当時の標準治療を受けた患者のデータをもとにしている。MACC1発現があると薬物反応性が改善するかどうかについても検討する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
乳癌細胞株への遺伝子導入、およびその遺伝子導入された細胞株を用いて、癌細胞の遊走、浸潤、増殖能の検討、および薬物反応性の検討のために研究費を使用する。研究費の多くは実験の物品費に使用する予定である。
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