2012 Fiscal Year Research-status Report
四肢リンパ浮腫に対する浮腫重症度に応じた空気圧マッサージ器の開発に関する研究
Project/Area Number |
24591914
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
前川 二郎 横浜市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70244449)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢吹 雄一郎 横浜市立大学, 附属病院, 指導診療医 (30610357)
安村 和則 横浜市立大学, 附属病院, 助教 (40351621)
友枝 裕人 横浜市立大学, 附属病院, 指導診療医 (40423553)
廣冨 浩一 横浜市立大学, 附属病院, 助教 (90368324)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | リンパ浮腫 / 空気圧マッサージ / 圧測定 / リンパマッサージ |
Research Abstract |
正常下肢におけるリンパ動態の検証を行った.マルチチャンバーで透明カフを有する空気圧マッサージ器を使用し健常者の下肢5肢を対象とした.本器を装着し、足にジアグノグリーン注25mg(溶解液付)を計1~2ml(5~10mg)注入し, PDEカメラを用いた蛍光リンパ管造影でリンパの流れを追跡した.各チャンバーのカフ圧は30―80mmHgまで可変であり、ICGのリンパ管内の流れを観察しながらカフ圧を調整し、良好なリンパ動態が得られる圧を計測した.観察可能であったのはICGにより皮下集合リンパ管が線状に描出された下腿部分であり、圧迫パターンを設定(ウエーブ、スクイーズ、ハイパー)してリンパ管内のICGの動きを観察した.圧迫圧については圧が高い程ICGが良く流れる(最大で80mmHg)が、カフが皮膚に均等にあたらず、接触部分と非接触部分により実際の圧に差があり、今後の研究では着圧測定を行う必要がある.圧迫パターンは、リンパの流れの中枢が先にパンピングを受けるだけで、リンパが中枢へ流れることを確認した.次に末梢部分がパンピングされるとリンパを押し出すように流れをつくることを確認し、パンピングのタイミングが重要であることを認識した. 下肢慢性リンパ浮腫患者におけるカフ圧測定を行った.健常人同様まずICG赤外線蛍光リンパ管造影検査を行い、次に空気圧マッサージ器を使用しながら同一の検査を行った.カフ圧を上げてリンパの動きを観察したが、皮下にリンパが鬱滞する部分(DBF)では高圧にしてもDBFの変化は観察できなかった.一方、DBFにいたる線状部分ではリンパの流れを確認した.重症例でDBFが広い範囲に存在する例では圧迫圧をさらに高める必要性があることが判明した. 第38回欧州リンパ学会に参加したが、空気圧マッサージに関する報告は殆どなく、未だリンパの可視化による研究が成されていないことを確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
24年度研究目標が概ね達成されてた理由は以下の通りである。 1, 健常人におけるリンパ浮腫動態の検証では、予定通りの健常者を対象として、ICG蛍光リンパ管造影下に透明カフを用いた空気圧マッサージ器を作働させ、その圧迫圧を変化(30-80mmHg)させてリンパ流の動態を検証することができた。同時に加圧パターンの検証もなされた。 2, 慢性下肢リンパ浮腫患者においてのリンパ動態の検証では、健常者と同様、ICG蛍光リンパ管造影下に透明カフを用いた空気圧マッサージ器を作働させ、蛍光の輝度の変化を調べることができた。 3, 学会参加として、第38回欧州リンパ学会(ドイツ、ベルリンに於いて)に出席し、リンパ浮腫の外科療法の効果についての報告を行った。同時に空気圧マッサージに関する情報収集を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度の研究では健常人、リンパ浮腫患者双方における空気圧マッサージによる皮下リンパの流れを掴むことができ、おおよそのマッサージ圧を知ることができたが、研究によりマッサージ器のカフと皮膚との接触具合が一様でないことが判明し、空気圧マッサージ器が示すカフ内圧と実際に皮膚にかかる接触圧に差が生じていることが推察された.また、パンピング(加圧パターン)の違いで皮下リンパを有効に流すことが可能であり、25年度はこの点を検討する必要がある.従って、1、実際の着圧を測定する為に、ICG蛍光リンパ管造影下にリンパの流れを確認しながら接触圧測定器を用いて着圧を測定する.また、中枢、末梢への加圧パターンを変え、最適なリンパが流れるパターンを探る.この際にICG蛍光リンパ管造影を行い、定点輝度の変化率からリンパ流を推定(輝度測定ソフト使用)する.さらに、2,パッド(ソフトマテリアル)による空気圧マッサージ効果の差異についての検討を行う.下肢リンパ浮腫患者5例に対し、リンパシンチSPECT―CTを施行して患肢におけるリンパの3次元的な流れを画像で評価する.この画像を基に、空気圧マッサージ器のカフの内側に波状あるいは線状のソフトマテリアルをリンパが鬱滞する部位、通過する皮下組織上の皮膚に当て,せん断応力がかかりやすい条件を作成し,空気圧マッサージを行う.約30分の空気圧マッサージ施行前後で、超音波と圧センサーを備えた皮膚硬度測定器とICG赤外線蛍光リンパ管造影でその有効性(皮下の弾性変化と皮下を流れるリンパの変化)を検証する.これはヒトの徒手的マッサージが肌と肌とを密着させることで剪断応力をかけていることを再現するのを目的としている.3,学会での報告:平成24,25年度で得られた結果を第24回国際リンパ学会で発表する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
24年度研究で、マッサージ器の接触圧測定を行うために接触圧測定器(AMI社製)を用いて空気圧マッサージ器のカフと皮膚との間に圧測定パッドを入れ着圧を測定する必要が生じた.この研究を25年度に行うため、24年度予算を17万円繰り越して、25年度予算の一部と合わせて35万円で測定機器関連部品を揃える.
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