2012 Fiscal Year Research-status Report
マイクロRNAを用いたトリプルネガティブ乳癌に対する新規治療薬の開発
Project/Area Number |
24591916
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
遠山 竜也 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (30315882)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉本 信保 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10551244)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 乳癌 / miR-210 |
Research Abstract |
本研究は、エストロゲン・レセプター(ER)陰性・プロゲステロン・レセプター(PgR)陰性・HER2陰性の、いわゆるトリプルネガティブ(TN)乳癌において、特徴的に高発現している低酸素関連「マイクロRNA」に着目し、TN乳癌に対する新規治療薬の開発を目指した研究である。具体的には、低酸素関連「マイクロRNA(miR)-210」をノックダウンしたTN乳癌に化学療法を行うことにより、化学療法抵抗性のTN乳癌に対する化学療法感受性の増強、すなわち、化学療法増感薬としての「miR-210ノックダウン療法」の意義について検討する。 まず、161例の乳癌組織(TN乳癌58例、エストロゲン・レセプター陽性HER2陰性103例)から抽出したRNAを用いて、乳癌組織におけるmiR-210発現を検討した結果、TN乳癌におけるmiR-210発現はER陽性HER2陰性乳癌と比較して有意に高いことが示された。また、TN乳癌におけるmiR-210高発現症例は、miR-210低発現症例と比較して有意に予後不良であることがわかった。さらに、miR-210はTN乳癌において独立した予後因子であることが示された。 今後は、トリプルネガティブ(TN)乳癌細胞株を用いて、低酸素環境におけるmiR-210の機能について解明したい。さらには、ヌードマウスを用いたXenograftモデルにより、TN乳癌細胞に対するmiR-210ノックダウンの抗腫瘍効果(化学療法への相乗効果)について解析することを目標とする。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
乳癌組織を用いた実験はおおむね予定通り施行したが、細胞株を用いた実験がまだ軌道に乗っていないため「やや遅れている」を選択した。
|
Strategy for Future Research Activity |
乳癌組織を用いた検討はおおむね終了したため、今後は、トリプルネガティブ(TN)乳癌細胞株を用いて、低酸素環境におけるmiR-210の機能について解明したい。さらには、ヌードマウスを用いたXenograftモデルにより、TN乳癌細胞に対するmiR-210ノックダウンの抗腫瘍効果(化学療法への相乗効果)について解析することを目標とする。 具体的には、TN乳癌細胞株を用いたmiR-210の標的遺伝子候補の解析、TN乳癌細胞株を用いた細胞増殖能アッセイ、TN乳癌細胞株の細胞周期および細胞死の解析、TN乳癌細胞株におけるmiR-210発現と低酸素関連因子の検討、さらには、Xenograft モデルを用いた検討 ①:ヌードマウスへ移植したTN乳癌細胞におけるmiR-210発現状況の検討、Xenograft モデルを用いた検討 ②:miR-210高発現のTN乳癌細胞に対するmiR-210ノックダウンの検討を進めていきたい。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
TN乳癌細胞株を用いたmiR-210の標的遺伝子候補の解析:miR-210の標的遺伝子候補としてmiR-210の標的遺伝子候補として「ミトコンドリア機能(酸素呼吸能)」に関与する2つの遺伝子(ISCU, SDHD)が報告されているが、異なる酸素濃度(0.2-20%)における、これらの標的蛋白発現を、上述した10種類のTN乳癌細胞株を用いて、ウエスタン・ブロット法にて解析する。 また、TN乳癌細胞株を用いた細胞増殖能アッセイ:TN乳癌細胞株では低酸素環境においてmiR-210を高発現していると予想されるが、miR-210発現を抑制した場合、miR-210をさらに強制発現した場合における細胞増殖能を、異なる酸素濃度(0.2-20%)において解析する。 TN乳癌細胞株の細胞周期および細胞死の解析:異なる酸素濃度(0.2-20%)において、TN乳癌細胞株を用いた細胞周期および細胞死の解析を、フローサイトメトリーおよびBrdU取り込みアッセイにて行う(細胞周期判定キットNuclear-ID Cell Cycle Analysis Kit(フナコシ)、ModFiTソフトウエア-(BD Bioscience)、フローサイトメトリーは当研究室に設置済み)。miR-210発現を抑制した場合およびmiR-210をさらに強制発現した場合においても解析する。
|