2014 Fiscal Year Annual Research Report
短鎖RNAによるホルモン治療抵抗性乳癌の新たな治療法の開発
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24591920
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大江 賢治 京都大学, 学際融合教育研究推進センター・健康長寿社会の総合医療開発ユニット, 特定講師 (30419527)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内海 俊明 藤田保健衛生大学, 医学部, 教授 (10176711)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | エストロゲン受容体 |
Outline of Annual Research Achievements |
エストロゲン受容体アルファ(ERα)mRNA前駆体の選択的スプライシングによりERα46が発現し、全長ERαの乳癌増殖作用を阻害することが知られている。申請者は癌遺伝子産物HMGA1aが、ERα46mRNAを生じる選択的スプライシングの責任分子であり、HMGA1aに対する短鎖おとりRNAがERα46mRNAを減少させ腫瘍増殖の亢進を認めることを見つけていた。そこで、ERα46のスプライシングに重要であるERαエクソン1の5'スプライス部位に対する短鎖アンチセンスRNAにより逆にERα46蛋白を発現させ乳癌増殖抑制を検討し、ERα46とHMGA1aの乳癌サブタイプや乳癌幹細胞様細胞における位置づけを確立し短鎖RNAによる乳癌治療開発を試みる予定であった。 研究を進める過程でHMGA1aのRNA結合配列の一部である5'-GCUGCUA-3'と相補的な配列をシード配列にもつマイクロRNA、mir-16を見つけた。miR-16はHMGA1a mRNAを標的としていることが知られており内因性にHMGA1aのRNA結合に対する「おとり」の役割を兼ね備えている可能性が考えられた。 そこでHMGA1aに対する短鎖おとりRNAを発現させたヌードマウスの腫瘍組織を調べたところmiR-16の発現低下を認めた。HMGA1蛋白の発現増強やERα46の異常スプライシング増強を伴っており腫瘍細胞安定発現株と逆の現象を認めた。 以上より、HMGA1aに対する短鎖おとりRNAは初期においてスプライシング制御によるERα46mRNA発現低下や腫瘍増殖を認めるが、後期ではmiR-16の発現低下によるHMGA1a発現増強がERα46mRNA発現を増強させていた。このようなHMGA1aに対する短鎖おとりRNAの二相性の現象は興味深く論文投稿予定であるが、臨床サンプルでの評価には至っていない。
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