2012 Fiscal Year Research-status Report
パルスジェットメスによる内視鏡的治療技術の応用開発
Project/Area Number |
24591931
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
中野 徹 東北大学, 大学病院, 助教 (50451571)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
亀井 尚 東北大学, 大学病院, 助教 (10436115)
中川 敦寛 東北大学, 大学病院, 助教 (10447162)
仲井 正昭 東北大学, 金属材料研究所, 准教授 (20431603)
宮田 剛 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (60282076)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 食道 |
Research Abstract |
内視鏡用レーザー誘発パルスジェットメスの工学的実験とおよび組織深達度実験を行い機器の改良と調節を行った。 冠動脈造影用カテーテルに金属チューブとテフロン性ノズルを連結させ、内視鏡用パルスジェットメスを作成した。食道粘膜下層を剥離するに至適なジェット衝撃力は先行研究により0.5~1.5 N/pulseとされているため、この出力を発生する機器の条件を検討した。レーザーエネルギー、ノズル口径、スタンドオフディスタンス(レーザー発光部とノズル先端までの距離)をパラメーターとし、フォースメーターとオシロスコープを用いてパルスジェット衝撃力を測定した。レーザーエネルギーは1.1~1.5 J/pulse、ノズル口径は0.5㎜、スタンドオフディスタンスは60㎜から100㎜で目的の衝撃力を得ることが可能となった。この条件で摘出豚食道の粘膜下層を剥離した際には組織学的に粘膜下層で良好に切開が行われ、筋層に熱損傷は認めなかった。作成した内視鏡用パルスジェットメスを実際の消化管内視鏡下に組み込み全身麻酔下豚の食道に挿入した。内視鏡下でも不自由なく操作することができ視野は良好であった。レーザー発光部の金属の安全性を担保するため検討を行った。レーザー照射部金属と同径の金属チューブの内腔に石英ファイバーを誘導し、レーザー照射実験(から撃ち)を行った。金属チューブの断面を作成し金属の損傷の有無を検討した。SUS316ではレーザーによる金属の穿孔を認め、Cuでは破損を認めなかった。1cmx1cmの金属角を用いてアノード腐食実験をおこなった。Cuについては腐食後のレーザー照射実験でも損傷を認めなかった。このため安全にESDを行うための試作品を作成することができ次年度に予定されている動物実験でその性能と特徴を従来機器と比較検討することが可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
内視鏡用パルスジェットメスを臨床応用することが我々の最終目標であるが、本年度はそのために、第一に食道粘膜下層剥離に至適なパルスジェットの流体力学的条件である0.5~1.5 N/pulseの衝撃力を発生する内視鏡用パルスジェットメスを作成する。第二に工学実験により消化管内視鏡操作下でレーザーエネルギー、ノズル径、standoff distance(レーザー発光部とノズル先端までの距離)を最適化する。第三ににレーザー発光部の金属として安価かつ対腐蝕性に優れたレーザー反射率の高い材質を選択することを目標とした。以上の条件を満たすパルスジェットメス試作品を作成し、パルスジェット衝撃力の測定、金属の腐食試験と照射実験を行うことができたのでおおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度に作成したパルスジェットメス試作品を用いて動物実験を行い、内視鏡操作下における十分な切開能の再現と微細血管の温存ができる条件を明らかにする。そのために全身麻酔下豚を用いてESDを行い、切開能力と血管温存能、組織深達度と熱変性の有無(穿孔の原因となる筋層損傷の回避)、操作性の確保、安全性の確保等の諸因子が両立できる条件を明らかにする必要がある。これら急性期評価に加えて慢性期評価として創傷治癒への影響を病理学的に明らかにする予定である。これまでの動物実験では豚を用いたが、臨床応用に先だって「ヒト食道摘出標本を用いた切開実験」を行う必要がある。ヒト食道は豚よりも筋層が薄く安全域とジェット至適条件に相違がある可能性があるため臨床応用の前段階として不可欠なステップであると考える。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
「該当なし」
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