2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24591936
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
河口 賀彦 山梨大学, 医学工学総合研究部, 助教 (80402048)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 食道扁平上皮癌 / HER2 / HER3 / 抗HER3抗体 |
Research Abstract |
食道扁平上皮癌は、消化器癌の中でも特に予後不良な難治癌として知られている。近年、新たな癌治療の選択肢として分子標的治療薬が開発され、抗HER2抗体であるtrastuzumab(HerceptinTM)や、抗HER1抗体(ErbitaxTM)が臨床応用されている。またHER family(HER1,HER2,HER3,HER4)はヘテロダイマーを形成し、細胞増殖に働くとされ、特にHER3はHER2とのヘテロダイマーを形成することにより、強い活性をもつと考えられている。本研究は、食道扁平上皮癌におけるHER2とHER3の関連を調べ、抗HER3抗体の食道扁平上皮癌に対する抗腫瘍効果を検討により、食道癌の新たな治療体系を確立することを目的とする。 本年度は食道扁平上皮癌細胞株であるTE-1, TE-2, TE-3, TE-4, TE-5, KYSE30, KYSE50, KYSE70, KYSE110のHER3発現を、抗HER3抗体を用いてフローサイトメトリーにて測定した。その結果、KYSE30がMFI 45.97と最も高発現であった。またKYSE50, TE-4がそれに次いで高発現株であった。HER3の中発現株はTE-3, TE-5, TE-2であり、低発現株としてはTE-1, KYSE110であった。なお、KYSE70はほとんどHER3の発現を認めなかった。そこでこれらの食道扁平上皮癌細胞株に対する抗HER3抗体の効果を検討すべくMTT法を用いて細胞増殖抑制効果を、Annexin/PI法を用いてapoptosis誘導能を測定したが抗HER3抗体による変化は認められなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
食道扁平上皮癌細胞株のHER3発現の測定を行い、高発現株から低発現株および、ほとんど発現を示さない細胞株までの分類が施行できた。また、抗HER3抗体の食道扁平上皮癌細胞株における効果を検討したが、細胞増殖抑制効果やapoptosis誘導能は認めなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
HER3発現に関して高発現株から低発現株までの分類が施行できたため、これらの抗HER3抗体の食道扁平上皮癌に対する抗腫瘍効果、特にリンパ球を介した抗体依存性細胞障害機構(ADCC)をin vitroで検討し、食道癌の新たな治療体系の確立していきたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度は、試薬等が定価より安価で購入できたため未使用金が生じた。 平成25年度は、抗HER3抗体の食道扁平上皮癌に対する抗腫瘍効果、特にリンパ球を介した抗体依存性細胞障害機構(ADCC)を、51Crでラベリングした食道癌細胞株とPBMCを培養後、抗HER3抗体添加群と非添加コントロール群を作製し、γ counterにて測定する。また、ADCCのeffector細胞として、各病期の食道癌患者からの末梢血を用いて検討し、健常人におけるADCCと比較する。さらに、食道癌細胞からのTGF-β産生を検討し、その産生量とADCCとの相関関係を検討する。さらに、TGF-β高産生株に対しては、抗HER3抗体によるADCCにおいて、癌細胞とanti-TGF-β阻害抗体を共培養させ、TGF-β阻害によるADCC増強作用を検討する。さらにTGF-β阻害を確認するため、smad3阻害剤であるSB-431542をリンパ球と共培養させTGF-βシグナリングをブロックすることにより、TGF-β阻害によるADCC増強作用を確認する。これらのTGF-β阻害実験では、dose dependency, time dependencyを確認する。 上記の検討に必要な抗体、試薬、薬剤を平成24年度の未使用金と合わせて購入予定である。また、不足しているディスポーザブル用品も購入予定である。
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Research Products
(8 results)