2014 Fiscal Year Annual Research Report
HER受容体と下流シグナル伝達系異常に基づく胃癌の治療効果予測マーカー探索
Project/Area Number |
24591940
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
岡部 寛 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), その他 (10335250)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小濱 和貴 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), その他 (50322649)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 胃癌 / トラスツズマブ |
Outline of Annual Research Achievements |
【方法】当院で切除手術を受けた胃食道腺癌患者の切除標本または、生検標本を用いて、免疫組織染色によりHER2およびPTENの発現を評価した。In vitroの実験では、胃食道腺癌の細胞株を用いて、HER2やPTENの発現をウェスタンブロットで行い、細胞増殖試験によりトラスツズマブの感受性を調べた。また、フローサイトメトリーにより、トラスツズマブが細胞周期に及ぼす影響の評価も行った。siRNAを用いてPTENをノックダウンし、PTEN欠失とトラスツズマブ耐性の関係を評価した。 【結果】胃食道腺癌の切除標本において、HER2強発現の患者28人の内、9人(32.1%)でPTEN欠失を認めた。HER2陰性の患者236人中53人(22.5%)と比べると、有意差はないもののHER2強発現患者の群でPTENを欠失している傾向が高かった。トラスツズマブに感受性を示した2細胞株において、トラスツズマブによるHER2下流シグナルの低下と細胞周期のG1期での休止が見られた。PTENのノックダウンにより、トラスツズマブに対する感受性は著明に低下し、増殖抑制効果が見られなくなり、トラスツズマブに対する耐性を示した。実臨床でトラスツズマブを投与した胃食道腺癌患者25人の内5人にPTEN欠失が見られ、いずれの患者でもトラスツズマブに対して限られた効果しか得られなかった。 【結論】PTEN欠失はHER2強発現の胃食道腺癌患者で多い傾向にあった。PTEN欠失は、HER2強発現の胃食道腺癌患者でトラスツズマブに対する感受性が低い患者さんを選択するバイオマーカーになり得る。
|
Research Products
(1 results)