2012 Fiscal Year Research-status Report
小腸虚血再灌流障害に対するRhoキナーゼ阻害薬の効果とメカニズムの解明
Project/Area Number |
24591968
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
竹吉 泉 群馬大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60272233)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
須納瀬 豊 群馬大学, 医学部, 助教 (90375543)
高橋 憲史 群馬大学, 医学部, 助教 (10599541)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 虚血再灌流障害 / 小腸 / Rhoキナーゼ / nitric oxide |
Research Abstract |
Rhoキナーゼは平滑筋の収縮のみならず、各種細胞の形態制御、遊走、遺伝子発現制御などの生理機能に関与していることが明らかとなっており、虚血再灌流障害臓器の血液内皮細胞におけるRhoキナーゼの増加も報告されている。そこでRhoキナーゼ阻害薬の小腸虚血再灌流障害軽減効果について研究し、そのメカニズムにせまることを本研究の目的とした。実験にはわれわれがすでに確立して数々の実験を行ってきた犬の小腸虚血再灌流障害モデルを用いた。実際にはビーグル犬で、虚血前30分間薬剤を投与し、上腸間膜動静脈を2時間クランプ後再灌流を行い、再灌流12時間後まで観察するモデルである。実験をRhoキナーゼ阻害薬投与群と非投与のコントロール群に分け、再灌流1,3,6,12時間後の小腸の障害の程度を小腸粘膜血流、SMA血流、Chiuの分類による組織学的障害で比較した。各群6匹ずつ行った時点で小腸粘膜血流、SMA血流、組織学的障害のいずれも再灌流12時間後には薬剤投与群が非投与のコントロール群に比べ有意に改善されていた。この結果からRhoキナーゼ阻害薬は小腸虚血再灌流障害を軽減されていることが判明した。Rhoキナーゼ阻害薬はクモ膜下出血後の脳血管攣縮およびこれに伴う脳虚血症状の改善として臨床で使用されているので、この実験の結果からすぐにでも臨床応用できる可能性がある。また今後の研究から虚血再灌流障害のメカニズムを探れれば研究の意義は高いと思う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Rhoキナーゼ阻害薬の小腸虚血再灌流障害軽減効果について研究し、そのメカニズムにせまることを本研究の目的とした。平成24年度は犬の小腸虚血再灌流障害モデルを用いて、われわれが作成したプロトコールに従って実験を開始した。予備実験を行った段階で,再度検討を行い実験をほぼこのまま続行することにした。その後、本実験を開始したが、平成24年度の計画であったin vivoの主たる実験はほぼ終了することができた。その際採取した組織や血液を基に、今後は次の段階である虚血再灌流障害のメカニズムの解明にせまる研究に移行する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度に行った実験で採取した検体をもとに血中および小腸組織、遠隔臓器の障害の指標となる肺組織のサイトカイン濃度,小腸および肺組織eNOSの発現(Western blots,免疫染色),eNOSのmRNAの発現(PCR)、アラキドン酸などについても検討する. また、Rhoキナーゼの発現をみるためELIZA法によってRhoキナーゼファミリーの活性化を測定し、さらにRhoキナーゼmRNAの発現を調べる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度は予備実験が順調に進み本実験にすぐにはいれたので、物品費が当初予定より約30万円ほど少なくて済んだ。平成25年度は採取した検体を基にWestern blots, PCR, ELIZAや免疫染色を用いた研究であるので、主に薬品やキットなどの物品を購入したり、外部に測定を依頼するための検査料が研究費の主体を占める。また研究成果を発表するための旅費に一部を使用する予定である。なお測定費などが若干多くかかる見込みとなったため、昨年度の残額分を含んで研究費の使用計画とした。
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