2013 Fiscal Year Research-status Report
小腸虚血再灌流障害に対するRhoキナーゼ阻害薬の効果とメカニズムの解明
Project/Area Number |
24591968
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
竹吉 泉 群馬大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60272233)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
須納瀬 豊 群馬大学, 医学部附属病院, 助教 (90375543)
高橋 憲史 群馬大学, 医学部附属病院, 助教 (10599541)
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Keywords | 虚血再灌流障害 / 小腸 / Rhoキナーゼ / nitoric oxide |
Research Abstract |
Rhoキナーゼ阻害薬である塩酸ファスジルはくも膜下出血術後の脳血管攣縮の改善として臨床で使用されているが,これはRhoキナーゼの主な作用である平滑筋細胞の収縮を抑えることによる.Rhoキナーゼは平滑筋の収縮のみならず,各種細胞の遊走,遺伝子発現制御などの生理機能に関与していることが明らかとなっており,虚血再灌流障害臓器の血管内皮細胞におけるRhoキナーゼの増加も報告されている.そこで、塩酸ファスジル投与による小腸虚血再灌流障害の軽減の効果につき検討し、そのメカニズムにせまることを本研究の目的としている。体重10㎏前後のビーグル犬を用い,塩酸ファスジル(1 mg/kg)投与群(n=6),生食投与群(n=6)を作成した.全身麻酔後開腹し,上腸間膜動静脈をクランプして2時間虚血後に再灌流した.回腸末端は組織採取目的のためストーマとした.再灌流1,3,6,12時間後に上腸間膜動脈(SMA)血流量およびストーマの小腸粘膜血流量の測定を行い,病理検査のためにストーマから小腸組織の一部を採取した.再灌流12時間後まで観察を行った.その結果再灌流12時間後において生食投与群に対し塩酸ファスジル投与群でSMA血流量と小腸粘膜血流量の有意な改善を認めた.組織学的検討においても塩酸ファスジル投与群で小腸粘膜障害の軽減を認めた.この結果からRho キナーゼ阻害薬である塩酸ファスジルはイヌ小腸における虚血再灌流障害を軽減することが判明した.そのメカニズムを調べるためeNOSの発現をWestern blotsで検討しているが,現在までメカニズムの解明となるようなデータはでていない.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Rhoキナーゼ阻害薬である塩酸ファスジルの小腸虚血再灌流障害軽減効果について研究し,そのメカニズムに迫ることを本研究の目的とした.平成24年度からイヌの虚血再灌流障害モデルを用いてわれわれが作成したプロトコールに従って実験を開始した.In vivoの主たる実験は順調に進み、Rho キナーゼ阻害薬である塩酸ファスジルはイヌ小腸における虚血再灌流障害を軽減することが判明した.その後メカニズムに迫るためまず,Western blotsの手技を習得し,色々条件をかえてeNOSの発現を調べたが,こちらのほうは残念ながら,まだメカニズムを解明するようなデータはでていない.
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Strategy for Future Research Activity |
eNOSの発現については,免疫染色でも検討する予定である.また好中球遊走能について検討し,結果をまとめ論文にする.
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Research Products
(1 results)