2012 Fiscal Year Research-status Report
化学療法関連肝障害の外科手術への影響とその病態生理の解明
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24591970
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
吉岡 裕一郎 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (50597854)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梛野 正人 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20237564)
横山 幸浩 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (80378091)
國料 俊男 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (60378023)
上原 圭介 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (50467320)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 化学療法関連肝障害 / Blue liver症候群 / 大腸癌 |
Research Abstract |
本年度は化学療法関連肝障害モデルとしてラットへのOxaliplatin投与による肝障害モデルを作成した。ラットに対してOxaliplatinを1mg/kgから5mg/kgの濃度で週2回、2週間、4週間、8週間投与を行い、濃度および投与期間での肝障害について検討した。血液生化学検査では、AST、ALT、ALP、T.Bilに優位差を認めなかった。 Oxaliplatinを3mg/kg 以上の投与により体重減少を認め、Oxaliplatinの5mg/kg、週2回、4週間投与時のヒアルロン酸値に有意な上昇を認めた。急性期では肝臓は発赤しており、肝組織への免疫細胞の浸潤を認めた。晩期ではネクローシス様になっており繊維化もすすんでおり早期肝障害と晩期合併症の肝障害発症機序が異なると考えられた。このラット肝障害モデルに対してヘパンによる肝障害の抑制について検討したが、ヒアルロン酸に有意差はなく抑制効果は認められなかった。また生存期間についても有意差を認めなかった。 次に分岐鎖アミノ酸(BCAA)による有効性ついて検討した。分岐鎖アミノ酸(BCAA)の連日投与によりヒアルロン酸の上昇が抑制されており、肝障害の軽減傾向が見られた。 Oxaliplatinによる肝障害の原因が肝臓の内皮傷害または微小循環傷害と考えられたため、内皮傷害をおこすモノクロタリンを用いた肝障害モデルを用いて分岐鎖アミノ酸(BCAA)の効果について検討した。モノクロタリンによる肝障害モデルにおいても分岐鎖アミノ酸(BCAA)の連日投与によりヒアルロン酸の上昇の抑制された。 現在、Oxaliplatinによる肝障害モデルへ分岐鎖アミノ酸(BCAA)投与後の肝臓の電子顕微鏡のよる検討およびヒト肝臓標本における化学療法関連肝障害の網羅的遺伝子解析を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
化学療法関連肝障害モデルとしてはOxaliplatinによる肝障害モデルを作成した。この肝障害モデルでの濃度、投与期間による肝障害および肝障害以外の有害事象の発生を明らかにした。早期肝障害での抗癌剤投与後の肝障害の経時的推移、晩期肝障害モデルでの抗癌剤の投与回数による肝障害の変化の検討により早期肝障害と晩期合併症の肝障害発症機序の相違を明らかにした。Oxaliplatinによる肝障害でのヒアルロン酸の上昇、分岐鎖アミノ酸(BCAA)の投与による肝障害の軽減傾向を明らかにした。しかし、Oxaliplatin以外の5-FU、CPT-11による化学療法関連肝障害モデルを作成できていず、この検討が不十分であった。またラット早期肝障害、晩期肝障害の肝組織を用いてDNAマクロアレイによる網羅的遺伝子解析が出来ていない。ヒト肝臓標本における化学療法関連肝障害の網羅的遺伝子解析が途中でありやや遅れていると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
1) 化学療法関連肝障害モデルの作成:5-FU、CPT-11による化学療法関連肝障害モデルを作成する。 2) 化学療法関連肝障害のメカニズムの解明:早期肝障害と晩期肝障害での肝障害発症機序の相違を明らかにしたので、これらの肝障害モデルの網羅的遺伝子解析により関連遺伝子を同定する。同定した遺伝子のsiRNAを用いた機能解析により早期肝障害と晩期肝障害での肝障害発症機序をさらに明らかにする。 3) ヒト肝臓標本における化学療法関連肝障害の網羅的遺伝子解析:大腸癌肝転移の切除標本の網羅的遺伝子解析を継続する。同定した肝障害に関連した遺伝子のsiRNAを導入したヒト由来正常肝細胞株に抗癌剤を投与し細胞死などへの影響を検討する。 4) 化学療法関連肝障害モデルに対する肝切除の検討:ラット肝障害モデルに対して70%肝切除術を行ない、手術への影響を検討する。 5) 化学療法関連肝障害の予防法の開発:ラット肝障害モデルに対する分岐鎖アミノ酸(BCAA)の作用機序を解明する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
肝障害関連遺伝子を標的としたsiRNAの合成費 DNAアレイキットの購入費 実験動物の購入費
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