2014 Fiscal Year Annual Research Report
大腸癌転移制御におけるケモカイン・ジグナル阻害の臨床応用へ向けた展開
Project/Area Number |
24591975
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
河田 健二 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (90322651)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 大腸癌 / 転移 / ケモカイン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はケモカイン・シグナル、なかでも 1)癌細胞自身が発現するCXCR3及びCXCR4、2)未分化骨髄球に発現するCCR1、に注目し、それらが治療ターゲットに結びつくかを解析するものである。 1)については、ヒト大腸癌細胞株にmiRNA法を用いて①CXCR3単独ノックダウン、②CXCR4単独ノックダウン、③CXCR3/CXCR4ダブルノックダウンの3種類の細胞株を樹立してマウスモデルで検討したところ、CXCR3およびCXCR4いずれのノックダウンでも転移抑制効果が確認された。また実際のヒト検体の解析でも進行度が進むにつれCXCR3およびCXCR4とも癌細胞での発現が増加することを明らかにした。この結果は論文として発表した(Murakami et al.Int J Cancer.2013)。さらに間葉系幹細胞(mesenchymal stem cell)と癌との相互作用について、CXCR3、CXCR4、CCR5のシグナルが関与していることも明らかとなり、これについては解析中である。2)については、ヒト大腸癌細胞株を使用し癌抑制遺伝子SMAD4が欠損するとケモカインCCL15の発現が上昇する分子機序を明らかにし、さらにヒト大腸癌肝転移においてもマウスモデルと同じく転移巣周囲ではCCR1 陽性骨髄球が多く集族しCCL15陽性転移巣では再発リスクが有意に高いことを確認した。この結果は論文として発表した(Itatani et al.Gastroenterology.2013)。さらに大腸癌原発巣の解析でもSMAD4欠損とCCL15発現とは有意な逆相関性をもっており、腫瘍浸潤先端にはCCR1陽性のMDSC(Myeloid-derived suppressor cells)が集族すること、CCL15発現と患者予後には相関性があること、が明らかとなり、更なる解析を進めている。
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Remarks |
京都大学医学研究科 消化管外科ホームページ http://gisurg.kuhp.kyoto-u.ac.jp/info
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