2013 Fiscal Year Research-status Report
大腸癌に対する新しいエピジェネティックテラピーの開発
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24591977
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
坂本 快郎 熊本大学, 医学部附属病院, 特任助教 (00452897)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 尚子 熊本大学, 医学部附属病院, 非常勤診療医師 (20452899)
別府 透 熊本大学, 医学部附属病院, 特任教授 (70301372)
渡邊 雅之 公益財団法人がん研究会, がん研有明病院, 食道担当部長 (80254639)
宮本 裕士 熊本大学, 医学部附属病院, 助教 (80551259)
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Keywords | EZH2 / JMJD3 / 大腸癌 / 肝転移 / エピジェネティクス |
Research Abstract |
今年度は、以下の項目を研究計画として予定していた。しかし、昨年度の実験データをもとに、研究内容に一部修正を加えているため、新たな研究内容の結果について主に記載する。 ・当初計画 EZH2発現量と抗癌剤感受性に関する検討 ・現在の研究成果 大腸癌肝転移切除症例における免疫染色にて、EZH2高発現症例では予後不良の傾向を示していることから、分子標的治療の対象となる可能性がある。基礎実験を追加予定である。 ヒストンH3の27番目のリジン(H3K27)をメチル化することで転写を抑制するEZH2に対して、H3K27を脱メチル化することで転写を促進すると考えられるJMJD3についての研究は余り行われていないことから、研究対象の中心をJMJD3に移している。JMJD3は臨床検体の解析から、非癌部と比較して癌部で高発現していることから、癌化のプロセスと関連していることが示された。また、大腸癌cell lineを用いた実験において、siRNAの手法を用いてJMJD3をknock downすると、癌細胞の浸潤能には変化は見られないが、細胞周期の促進とapoptosisの低下が見られたことから、癌細胞の増殖に対して抑制的に働いていることが示唆された。mRNAの解析から、JMJD3はp15の発現を促進することで癌に抑制的に働いていると考えられた。また、JMJD3の発現を調節する上流のmicroRNAを同定しており、こちらに関してもonco-miRとしての解析を進めているところである。今後は当初の計画に含めていた、抗癌剤感受性との関連について追加研究することを検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画には修正が入ることとなったが、新たな知見を得ることができており、計画期間内に複数の報告ができると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初、次年度の実験計画としてin vivoにおける検討を予定していた。しかし、EZH2およびJMJD3ともに、これまでに報告がない知見が得られつつあり、それらについてより精密なin vitroの実験を追加しているところである。具体的な内容としては、 1)大腸癌肝転移の免疫染色から、EZH2がその予後因子になる可能性が考えられる。従って、大腸癌cell lineを用いたin vitro実験としてcell cycle assay、invasion assay、apoptosis assayの追加を考えている。 2)これまでにJMJD3が癌抑制遺伝子である可能性を示してきた。その一方で、JMJD3に対して抑制的に働くmicroRNAを同定しており、そのonco-miRとしての可能性をin vitroで確認する予定としている。それぞれが分子標的治療の対象となる可能性を秘めており、重要な研究内容であると考えている。 当初の実験計画からは一部修正が入っているが、大腸癌に対する新しいエピジェネティックテラピーの開発と題してEZH2とJMJD3を研究対象とした実験に変わりなく、大きな成果が得られると考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初の計画を修正したことで、購入予定であった消耗品の購入の必要がなくなり、また他の消耗品についても比較的安価にて購入することができたため。 研究関連の消耗品購入費のほか、実験結果のデータ管理、官憲書類のファイリング等を行ってもらうための人件費に充てる予定である。
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