2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24591983
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
坂本 一博 順天堂大学, 医学部, 教授 (60205763)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
服部 浩一 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任先任准教授 (10360116)
小見山 博光 順天堂大学, 医学部, 講師 (30348982)
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Keywords | 大腸がん / 血液線維素溶解系 / 線溶系阻害剤 / Azoxymethane (AOM) / 大腸がんモデルマウス / 担がんモデル / 新規分子療法 |
Research Abstract |
細胞外マトリックスを基質とする蛋白分解酵素群の一種であるマトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)は,がん細胞の組織内浸潤,転移に必須の因子と目されている.本研究では,生体内において膜型MMPをはじめとする相互活性化システムと血液線維素溶解系(線溶系)因子プラスミンがMMPの活性化を担っていることに着目し,主に消化器系の がん病態における各種プロテアーゼ活性化の実態と意義を明らかにすることを主目的とし,さらに線溶系因子あるいはMT1-MMP等の活性を標的としてMMPの活性カスケードを上流から抑制することによる,主に消化器がんの新規分子療法の可能性を探ることまでを目的の範疇とする. 今年度までの研究で,大腸がんモデルマウスの作製のために,近交系マウスや線溶系遺伝子欠損マウスを用いて,Azoxymethane (AOM) 誘発大腸がんモデルマウスの表現型解析に取り組んできた.さらに線溶系阻害剤を投与することで,線溶系と腫瘍形成機構の関係について解析を進めた.すでに我々の過去の研究では末梢組織中で血管新生因子,ケモカインの供給源となる骨髄由来の炎症性細胞の主要組織内への動員抑制を介してリンパ腫細胞増殖が制御されていることが明らかとなっている.本研究でも,線溶系因子だけでなく骨髄由来細胞の関与が示唆されていることから,骨髄由来細胞の動員に関与する各種プロテアーゼ活性が,ある種の がんに対して,新規分子標的薬になる可能性を追求する.これまで多くのMMP阻害剤が開発されてきたが,阻害剤単独での有効性が不十分なことや,欧米での治験で深刻な副作用のために臨床応用が中止されており,本研究はそれに変わる新たな分子標的治療薬の可能性を示唆するものとして重要な役割を担っている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は,消化器がんモデルマウスおよび患者検体を使用し,異常血管新生を含む がん増殖と線溶系の関連性,プラスミンの生成に伴うMMP活性化を介した生体内の がん増殖機構の解明,特に がん組織への骨髄由来細胞浸潤について検証することで,新規線溶系阻害剤による がん増殖抑制効果について評価を行い,線溶系因子シグナルと がん増殖進展機構の関連性を明らかにする. 薬剤(Azoxymethane;AOM)投与による大腸がんモデルを,野生型(WT)とPlg,MMP9,PAI-1の各種遺伝子欠損マウス(Plg-/-,MMP-9-/-,PAI-1-/-)を用いて作製し,線溶系と腫瘍形成の関係について評価を行った.その結果,形成される腫瘍の数,大きさが各欠損マウスで異なる傾向を示した.この結果は,線溶系シグナルの抑制と亢進の機構を反映したものと考えられ,線溶系因子群の動態変化が大腸がんの腫瘍形成機構の一端を担っていることを示唆している.各種骨髄由来細胞等の免疫系細胞の関与も期待される.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は,免疫組織染色,ならびにサイトカイン/ケモカイン,MMP-9等のELISA,がん組織の骨髄由来細胞の浸潤状態のFACS解析を進めていく.また,大腸がん細胞株を用いた担がんモデル,肛門移植モデルを作製し,Plg,MMP,PAI-1等の各種線溶系因子阻害剤投与による線溶系の動態変化と がんの進展の関係を比較解析する.これらの解析から血液線溶系の骨髄由来細胞動員を介した がん増殖及び血管新生過程における機能を解明する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
薬剤(Azoxymethane;AOM)投与による大腸がんモデルを,野生型(WT)とPlg,MMP9,PAI-1の各種遺伝子欠損マウス(Plg-/-,MMP-9-/-,PAI-1-/-)を用いて作製し,線溶系と腫瘍形成の関係について評価を行い,予定よりも早い段階で良好な結果を得ることとなったため.また,本年度の研究結果より次年度の研究はさらなる FACS解析および,担がんモデルなどの研究も行う予定であるため. 免疫組織染色,ならびにサイトカイン/ケモカイン,MMP-9等のELISA,がん組織の骨髄由来細胞の浸潤状態のFACS解析を進めていく.また,大腸がん細胞株を用いた担がんモデル,肛門移植モデルを作製し,Plg,MMP,PAI-1等の各種線溶系因子阻害剤投与による線溶系の動態変化と がんの進展の関係を比較解析する.
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Research Products
(7 results)
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[Journal Article] Investigation of free cancer cells in peripheral blood using CEA mRNA expression in perioperative colorectal cancer patients.2013
Author(s)
Nagayasu K, Komiyama H, Ishiyama S, Ogura D, Takahashi R, Tashiro Y, Niwa K, Sugimoto K, Kojima Y, Goto M, Tomiki Y, Niwa S, Sakamoto K.
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Journal Title
Molecular and clinical oncology
Volume: 1
Pages: 668-674
DOI
Peer Reviewed
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