2012 Fiscal Year Research-status Report
切除不能大腸癌肝転移に対する化学療法後肝切除の適応拡大に向けた新たな戦略
Project/Area Number |
24591990
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
袴田 健一 弘前大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30271802)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石戸 圭之輔 弘前大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00436023)
工藤 大輔 弘前大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00587024)
豊木 嘉一 弘前大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (70301025)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 化学療法後肝切除 / 大腸癌 / イリノテカン / 脂質代謝 / 有機アニオントランスポーター |
Research Abstract |
本年度の研究実施計画に基づき、ラットIrinotecan肝障害モデルを作成し、肝障害の発生機構について分生物学的検討を行った。Irinotecan 100mg腹腔内投与により肝障害モデルを作成し、1か月後に採取した肝組織の脂質代謝に関わる遺伝子をmicroarrayならびにRT-PCRで計測したところ、中性脂肪合成系酵素のRNA発現亢進が確認(Fasn, Acss2, Acsm5, Acsl5, Elovl6)され、さらにコレステロール合成に関わる酵素群のRNA発現も更新している(Acly, Pmvk,Mvd,Idi1, Sqle,Lss, Sc4mol,Dhcr7, CYP7A1,CYP8B1, Ugt2a3,Ugt2b)との新知見を得た。現在、肝障害機構とこれらの遺伝子発現の関係解析を継続中である。 また、同モデルを用いた有機アニオントランスポーターの発現解析も行ったところ、前述の脂質合成系発現異常とは異なり、有意差は確認されなかった。この点については仮説と異なる事から、再検討を要する。 以上の如く、中性脂肪代謝とコレステロール代謝の双方の異常が確認されつつあることから、肝障害の新たな臨床的診断法としてAcoustic Strucure Quantification(ASQ)を用いた脂肪肝定量化についての研究を開始した。大腸癌肝転移に対する化学療法前と化学療法経過中、さらに肝切除直前に評価目的に撮像したMRI、CTなどの各種画像に加えASQを測定し、切除標本の病理組織像との比較検討を行っている。中間解析では、ASQにおける局所不均一性パラメータ(F‐D ratio)は高い感度を以て脂肪化の診断に有用であり、現在症例集積中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年の研究実施計画の内、ラットIrinotecan肝障害モデルを用いた病態解析は予定通の進捗状況であった。脂質代謝異常を遺伝子レベルで確認するという新知見も得られ、仮説とは異なるものの、有機アニオントランスポーターの解析により、Irinotecanによる肝障害は、薬剤の細胞からの排泄機構異常ではなく、肝細胞レベルでの代謝異常によることが新たに推定された。今後予定通り、平成25年度の実施計画に以降できると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度が予定通りの進捗状況であり、平成25年度も実施計画通りに研究を進める予定である。ただ、平成24年度の研究で新たに確認されたコレステロール合成系ならびに脂肪酸合成系の亢進現象については、新たな知見であるため、さらに深く掘り下げて研究を推進する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(12 results)