2013 Fiscal Year Research-status Report
切除不能大腸癌肝転移に対する化学療法後肝切除の適応拡大に向けた新たな戦略
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24591990
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
袴田 健一 弘前大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30271802)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石戸 圭之輔 弘前大学, 医学部附属病院, 講師 (00436023)
工藤 大輔 弘前大学, 医学部附属病院, 講師 (00587024)
豊木 嘉一 弘前大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (70301025)
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Keywords | colorectal cancer / steatohepatitis / liver damage / irinotecan / ultrasound / noninvasive analysis / liver resection |
Research Abstract |
切除不能大腸癌肝転移に対する新たな治療戦略を構築するため、今年度は、1)イリノテカン肝障害モデルにおける脂質代謝異常の機序に関する基礎研究、2)超音波信号の統計学的解析技術による化学療法後肝障害の侵襲的検査法の開発、の2つのテーマに重点をおいて研究を継続した。 1)雄性SDラットに対してイリノテカン200mg/kgを1週4日間を1クールとして3クール腹腔内投与して、投与後4, 18, 25日目に犠牲死させて肝を摘出し、HE染色、マイクロアレイ解析、免疫組織学的解析を行った。結果、18日目に組織学的脂肪肝が確認され、25日には可逆性に改善されていた。また、マイクロアレイ解析では、4日目に脂肪酸ならびにコレステロール代謝に関与する遺伝子群の過剰発現が確認され、免疫組織学的にも脂肪酸合成酵素の発現、さらに肝前駆細胞の活性化やKupffer細胞のCxc19消失が確認された。近年、NASHでも同様の機構が報告されており、イリノテカンによる肝障害機構との類似性が推定された。 2)化学療法後肝障害の特徴である肝細胞の脂肪化をより鋭敏に診断し、しかも非侵襲的に繰り返し実施できれば化学療法後肝障害を回避しながら、適切な肝切除術式選択が可能となるものと期待される。そのため、より鋭敏な肝障害評価法の確立を目指して、ヒトを対象として超音波信号の統計学的解析技術(Acoustic Structure Quantification (ASQ)法)による肝障害の非侵襲的定量法の開発研究を行った。その結果、脂肪肝程度とASQ値は良好な相関を示し、特に従来の画像診断法で定量評価が困難であった30%前後での脂肪肝評価が可能であることが判明した。ASQ法は脂肪肝を早期発見し、肝切除を適正化する上で有望と期待された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
化学療法肝障害の病態機構について新知見を得た点、肝障害の新たな非侵襲的診断法にASQが有用であるとの知見が得られた点で、研究全体としておおむね順調に進展していると評価している。 化学療法後肝障害の病態機構として、当初肝細胞からの薬剤排泄トランスポーターの関与を推定したが、トランスポーターの発現を遺伝子レベル、タンパク質レベルで検討した結果、関与は大きくないとの結論に至った。そのため、解析の範囲を肝細胞代謝全体に広げ再検討を行ったところ、脂質代謝系の遺伝子発現そのものに異常をきたしていることが明らかとなった。 一方、肝障害診断については、化学療法後肝障害の特徴的病理像である、類洞拡張と脂肪肝の中で、特に後者の診断法の開発に重点をおいて検討したところ、ASQの有用性を証明し得た。超音波信号の統計学的解析技術は非侵襲性という観点で臨床上有益と考えられることから、治療戦略構築の手段として期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
マイクロアレイ解析で肝障害機構に関与していると推定される脂質代謝系遺伝子も同定されたため、イリノテカン投与とこれらの遺伝子発現変化の関連について新たに研究の必要性が生じて来た。 さらに、ASQの有用性が明らかとなったことから、今後大腸癌肝転移に対する化学療法症例の経時変化を追跡し、その有用性を検証したい。 以上の結果をもとに、今後の研究の推進方策として大腸癌肝転移の様々な病態に応じた治療戦略アルゴリズムを構築したい。
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Research Products
(22 results)
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[Journal Article] FGF3/FGF4 amplification and multiple lung metastases in responders to sorafenib in hepatocellular carcinoma.2013
Author(s)
Arao T, Ueshima K, Matsumoto K, Nagai T, Kimura H, Hagiwara S, Sakurai T, Haji S, Kanazawa A, Hidaka H, Iso Y, Kubota K, Shimada M, Utsunomiya T, Hirooka M, Hiasa Y, Toyoki Y, Hakamada K, Yasui K, Kumada T, Toyoda H, Sato S, Hisai H, Kuzuya T, Tsuchiya K, Izumi N, Arii S, Nishio K, Kudo M.
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Journal Title
Hepatology
Volume: 57
Pages: 1407-15
DOI
Peer Reviewed
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