2012 Fiscal Year Research-status Report
骨形成蛋白(BMP7)よる新たな生体肝移植後過小グラフト対策の開発
Project/Area Number |
24591995
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
高屋敷 吏 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (30456024)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉富 秀幸 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (60375631)
加藤 厚 千葉大学, 医学部附属病院, 講師 (70344984)
清水 宏明 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (80272318)
宮崎 勝 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70166156)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 肝臓病学 / 移植・再生医療 |
Research Abstract |
本研究の目的は以下の3点である. 1.BMP-7投与によりラット過小グラフト(Small-for-size: SFS)肝移植動物モデルにおいてSFS肝不全抑制効果があることを門脈圧変化,生化学データ,肝再生,生存率などにより明らかにする. 2. 臨床応用に向けて肝での特異性を高めて作用増強を図るためにSFSグラフト肝組織におけるBMP-7およびその作用と拮抗するTGF-β1を介した肝不全抑制機序を解明する. 3. 生体肝移植患者の臨床検体を用いてhuman でのBMP-7およびそのレセプター発現測定を行い臨床応用へ向けた基礎的データを明らかにする. 今年度は目的1の達成のためrecombinant human BMP-7 (rhBMP-7)をSFS肝移植術後に経静脈的に全身投与し,血流圧モニターを用いた移植後経時的門脈圧変化,血清中AST, ALT, T-bil値,動物実験用CT(ALOKA社ラシータLCT-200)を用いたCT volumetry,肝移植後生存率を測定することによりFS肝不全抑制効果を検討してきた. 研究の再現性が不十分であるが,rhBMP-7投与により肝障害軽減を示す血清中AST, ALT, T-bilの低下および生存率の改善を認めているという結果を得た.これにより,動物実験においてはrhBMP-7に肝不全抑制効果があることを確認した.現時点でも生体肝移植において門脈血流改変以外に薬物による過小グラフトによる肝障害改善治療は確立されていないため,生体肝移植後の重篤な合併症の一つである過小グラフト症候群治療薬開発に向けた貴重な基礎的データと考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
rhBMP-7をSFS肝移植術後に経静脈的に全身投与しても,門脈圧の変化は軽度にとどまり,CT volumetryも技術的な問題も含め一定の傾向が認められていない.今後は適切な投与量を確認するためrhBMP-7をtitrationする,あるいは肝組織中濃度上昇と総投与量減量を図るために,rhBMP-7の投与方法を門脈内投与に切り替えるなどの方針変更を検討している.physiological doseを超える十分量のrhBMP-7投与を行っていると考えられるが,ラット過小グラフト肝移植後のrhBMP-7投与による肝不全抑制効果の個体差が大きく,データのばらつきにより統計学的な有意差を得ることができない可能性が考えられる. これらの基礎的データによる肝不全抑制効果が確認できないと,その後予定しているシグナル伝達解析や臨床例での検討などに進むことができないため,予定よりやや遅れているとする.
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Strategy for Future Research Activity |
rhBMP-7をtitrationあるいは投与経路を変更することにより,手技およびデータの安定化を確認した後,SFS肝移植術後の血流圧モニターを用いた移植後経時的門脈圧変化,血清中AST, ALT, T-bil値,動物実験用CT(ALOKA社ラシータLCT-200)を用いたCT volumetry,肝移植後生存率などの再検を行いデータ解析からrhBMP-7投与による肝不全抑制効果をより明確に示す.その後,SFSグラフト肝組織におけるBMP-7のBMPR-IA(ALK3)を介した転写因子であるSmad1, Smad5の転写活性をElectropholetic mobility shift assay (EMSA)法にて測定する.また,BMP-7のtarget geneであるα-SMAを免疫組織染色法・Western blot法にて測定する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度使用した過小グラフト肝移植モデル作成に用いるラットおよびその管理費用と血清中AST, ALT, T-bilなどの測定キットに加えて,次年度にはElectropholetic mobility shift assay (EMSA)法,免疫組織染色法・Western blot法に用いる薬剤,抗体などに研究費を使用する.抗体などによっては高額となるものもあり,次年度研究費として計上した使用額を要する予定である.
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