2012 Fiscal Year Research-status Report
ヒト多能性幹細胞由来肝細胞の分化誘導法確立と細胞移植における有用性の検討
Project/Area Number |
24591999
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
安近 健太郎 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 非常勤講師 (00378895)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上本 伸二 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (40252449)
石井 隆道 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (70456789)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 再生医学 / 間葉系幹細胞 / 多能性幹細胞 |
Research Abstract |
1.ヒト間葉系幹細胞(hMSC)の肝細胞への分化誘導 a) 培地・分化誘導因子の選択、投与量・投与期間の検討 我々の先行研究やヒトiPS細胞(hiPSC)の肝細胞への分化誘導の際に使用した誘導法および他のグループのhMSC肝細胞分化誘導の先行論文に基づき、購入したhMSCを培養増殖した上で、分化・成熟誘導因子として各種増殖因子や細胞外基質を用いて約4週間程度かけて肝細胞へ分化および成熟化を誘導を行った。 その結果、形態学的には繊維芽細胞様の細胞から肝細胞様の多角形の細胞へと変化した。肝細胞への分化を評価するために、経時的にmRNAを抽出し、cDNAライブラリーを作製し、これらのcDNAを用いて、従来の組織学的解析に基づき同定されてきた未分化肝細胞マーカーや、成熟肝細胞マーカー、さらに中胚葉マーカーなどの各種マーカーに対するRT-PCRを行い、hMSCの肝細胞への分化成熟過程における遺伝子発現に対する解析を行ったところ、分化誘導2週間で、アルブミンの発現を認めた。最終的に誘導されたhMSCの遺伝子発現を、ヒト肝細胞癌株であるHepG2やヒト成熟肝細胞と比較したところ、HepG2のアルブミン発現度と比較すると十分ではないが、アルブミンの発現を認め、徐々に強くなっていることが確認できた。また、分化誘導を終了した細胞に対し、成熟肝細胞マーカーであるアルブミンの抗体を用いて免疫染色を行ったところ、アルブミン陽性であった。加えて、in vitroでの肝細胞機能の評価として、培養細胞のアルブミン合成能を評価するために、培地上清中のアルブミン濃度を測定したところ、分化誘導とともにアルブミン濃度の上昇を認めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒト間葉系幹細胞を肝細胞様細胞へと分化できたからである。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は間葉系幹細胞から分化誘導した肝細胞を、免疫不全ラットであるX-SCIDラットに細胞移植する予定である。 移植後の救命効果、移植細胞の生着を評価する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
肝障害誘導ラット肝における、hMSC由来肝細胞の生着・増殖能および分化形態の解析 肝細胞へ分化誘導し、高度な肝細胞機能が確認されたhMSC由来肝細胞を、免疫不全ラットであるX-SCIDラットに細胞移植する。はじめにX-SCIDラットに対し、細胞移植前にretrorsine腹注+肝部分切除(またはCCl4腹注)によって肝障害を惹起した後、分化誘導を終了したhMSC由来肝細胞を1個体あたり1.0×107個/PBS 1mlとなるように懸濁し、ラットの門脈にカニューレを挿入して経門脈的に細胞移植を行う。対照となるコントロール群として、PBSのみ経門脈的に投与したsham operation群をおく。この細胞移植後のラット肝を経時的に摘出し、摘出肝に対してHE染色を行う。さらにhuman albuminおよび肝細胞マーカーであるHepatocyte Parrafin 1(HepPar1)に対する免疫染色を行うことで移植した肝細胞とラットの細胞との識別が可能となり、移植肝内でのhMSC由来肝細胞の形態的変化および増殖能の評価が可能となる。また、コントロール群の摘出肝と比較することで、hMSC由来肝細胞の肝障害に対する保護作用についての解析が可能となる。これに加えて、他のCK19などの胆管上皮マーカーやCD34などの血管内皮マーカー、CYPsなどの成熟肝細胞マーカーやProliferating Cell Nuclear Antigen(PCNA)などの増殖マーカーとの2重免疫染色を行うことで、hMSC由来肝細胞の移植肝内での分化・成熟化および増殖能に関する解析を行うことが可能となる。
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Research Products
(4 results)