2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24592001
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
小林 剛 広島大学, 大学病院, 病院助教 (50528007)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 消化器外科 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、大腸癌の浸潤能・運動能を制御する新たな分子を標的として、大腸癌肝転移の浸潤や転移を阻止する方法を確立することである。私たちがGSK-3結合蛋白として同定したh-pruneを標的分子とした大腸癌肝転移治療の可能性について検討した。 まず大腸癌肝転移症例の切除検体52例における免疫染色において、h-pruneの発現を21例に認めた。h-prune陽性例は有意に切除後の生存率が不良であり、h-pruneの発現は独立した予後不良因子であった。 大腸癌細胞株SW480にsh-RNAを遺伝子導入して、恒常的h-pruneノックダウン細胞株を作成し、この細胞株を免疫不全マウスの門脈内に注入すると、有意に肝転移形成が損なわれていることが判明した。また大腸癌細胞株HCT116にGFP/h-pruneを遺伝子導入して、恒常的h-prune高発現株を作成し、免疫不全マウスの門脈内に注入すると、肺転移を有意に促進することが明らかとなった。これらの結果から、大腸癌門脈注入モデルにおいてh-pruneの発現が癌転移を促進していることが示唆された。 h-prune高発現株では上皮性マーカーであるE-cadherinやZO-1の発現低下がみられ、間葉系マーカーであるN-cadherinやVimentinの発現増加がみられた。一方でh-pruneノックダウン株では逆の現象がみられ、h-pruneが上皮間葉転換EMTに強く関与していることが明らかとなった。 以上の研究結果から、h-pruneの発現は大腸癌細胞のEMTを促進し、門脈注入マウスモデルにおいて癌転移を促進することが明らかとなった。臨床的にはh-pruneが大腸癌肝転移切除後の独立した予後因子であることから、h-pruneを標的分子とした大腸癌肝転移に対する新規治療法の可能性が示唆された。
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Research Products
(3 results)