2014 Fiscal Year Annual Research Report
増殖型遺伝子組換えウイルスを用いた根治不能肝腫瘍に対する新治療法の開発研究
Project/Area Number |
24592014
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
權 雅憲 関西医科大学, 医学部, 教授 (70225605)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
海堀 昌樹 関西医科大学, 医学部, 准教授 (30333199)
藤澤 順一 関西医科大学, 医学部, 教授 (40181341)
藤堂 具紀 東京大学, 医科学研究所, 教授 (80272566)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 増殖型遺伝子組換えウィルス / 単純ヘルペスウィルス / 抗腫瘍免疫 / 肝臓がん |
Outline of Annual Research Achievements |
進行肝細胞癌は予後が悪く、現在ソラフェニブが使用されるが、無効例や副作用が強く中断する例が多い。近年、多種癌腫に対してウイルス療法の研究が進められている。我々は肝細胞癌に対する新規治療として、第三世代増殖型遺伝子組換えHSV-1(T-01)によるウイルス療法の効果検討を行った。T-01は三重の欠失変異を有する第三世代HSV-1で、欠失変異による高い治療効果と高い安全性を併せ持ち、更に抗腫瘍免疫の惹起力が増強している(ウイルスの増殖に伴う、ウイルスそのものの直接的な腫瘍に対する局所的な殺細胞効果に加え、抗腫瘍免疫が増幅することによる肝内や肺などの転移病変への抗腫瘍効果が期待出来る)。 ①In vitro:ヒト肝癌細胞株(13種)を用いて、T-01の殺細胞効果および低濃度における複製能を検討した。②In vivo:ヒト肝癌細胞株(肝炎由来など背景を分別し、4種Huh-7, KYN-2, PLC/PRF/5, HepG2)を用いて、ヌードマウスの皮下腫瘍・同所腫瘍・腹膜播種モデルを作成し、T-01投与後の抗腫瘍効果(皮下ならびに同所に関して局所投与、腹膜播種に関して尾静脈から静脈投与を行った)や安全性を検討した。 ①T-01は11種の細胞株に対し、高い殺細胞作用を示した。②様々なモデルに対し腫瘍増殖を抑制し、明らかな副作用は認めなかった。 以上より腫瘍の発生背景や肝炎ウイルスの感染に関わらず、ほとんどの肝細胞癌に対し抗腫瘍効果を認め、肝細胞癌に対し有効な新規治療法になりうる事が示唆された。現在T-01と同じ3つのウイルス遺伝子に変異を有するG47Δを用いて、複数の臨床試験が進行中である。今後、難治性モデル(肺転移など)に対する抗腫瘍効果による抗腫瘍効果や、ソラフェニブとの併用など、実用化を視野に入れた開発を行っていく。
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