2012 Fiscal Year Research-status Report
早期DNA損傷修復機構の評価法に基づく胆管癌における表層拡大進展形成機序の解明
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24592021
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
若井 俊文 新潟大学, 医歯学系, 教授 (50372470)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松田 康伸 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (40334669)
味岡 洋一 新潟大学, 医歯学系, 教授 (80222610)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | DNA損傷修復機構 / p53-binding protein 1 / 胆管癌 / 表層拡大進展 / field carcinogenesis / 上皮内癌 / γ-H2AX / DNA二重鎖切断 |
Research Abstract |
申請者らは、p53-binding protein 1 (53BP1)による早期DNA損傷修復機構に着目し、「胆管癌の表層拡大進展の形成は、浸潤癌が上皮内進展して形成される場合とfield carcinogenesisの結果残存した上皮内癌部が表層拡大進展として形成される場合とがあり、両者における表層拡大進展部では、DNA損傷部に対する53BP1を介したDNA修復機構に相違点がある」という仮説をたて、本研究を企画した。目的は「胆管癌の浸潤部と表層拡大進展部におけるDNA損傷部に対する53BP1を介したDNA損傷修復機構の相違点を解明し、表層拡大進展形成機序を解明すること」である。 (1)DNA損傷およびDNA損傷修復仲介因子53BP1の検出:術前の胆管上皮生検材料および切除標本の浸潤癌部・表層拡大進展部におけるDNA損傷をγH2AXモノクローナル抗体による免疫組織化学、蛍光免疫組織染色(IF)で検出し、53BP1に対するIFを行い53BP1の核内発現を検出し、早期DNA損傷修復仲介因子53BP1の核内発現様式を解明する。 (2)二重蛍光免疫組織染色によるDNA損傷部への53BP1共局在率:二重蛍光免疫組織染色にて浸潤癌部・表層拡大進展部におけるDNA損傷部への53BP1共局在率を解明する。 (3)p53遺伝子変異および53BP1遺伝子変異の検出:浸潤癌部・表層拡大進展部におけるp53(exon5-8)、53BP1(exon21 & 22)の遺伝子変異を検索し、53BP1不活化(DNA損傷部に53BP1が共局在しない)の原因がp53遺伝子変異によるものか53BP1自体の遺伝子変異によるものかを解明する。 (4)表層拡大進展形成機序の解明:53BP1を介したDNA修復機構およびp53遺伝子変異、53BP1遺伝子変異という新たな視点から胆管癌における表層拡大進展の形成機序を解明する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
DNA損傷およびDNA損傷修復仲介因子53BP1の検出を行った。切除標本の浸潤癌部・表層拡大進展部におけるDNA損傷をγH2AXモノクローナル抗体による免疫組織化学、蛍光免疫組織染色(IF)で検出し、53BP1に対するIFを行い53BP1の核内発現を検出し、早期DNA損傷修復仲介因子53BP1の核内発現様式を検討した。二重蛍光免疫組織染色によるDNA損傷部への53BP1共局在を検討した。53BP1核内ドット状集積における両者の核内発現の局在を検討した結果、53BP1はγH2AXに共局在していた。胆管癌の浸潤部と表層拡大進展部におけるDNA損傷部に対する53BP1を介したDNA損傷修復機構の相違点を解明し、下記英語論文として発表した。 Wakai T, Shirai Y, Sakata J, Korita PV, Ajioka Y, Hatakeyama K. Early DNA damage response in residual carcinoma in situ at ductal stumps and local recurrence in patients undergoing resection for extrahepatic cholangiocarcinoma. J Hepatobiliary Pancreat Sci 2013;20(3):362-9.
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度以降は2003年度~2011年度に根治切除が施行された胆管癌50症例を対象として、切除標本での浸潤癌部・表層拡大進展部におけるDNA損傷をγH2AXモノクローナル抗体による免疫組織化学、蛍光免疫組織染色(IF)で検出し、53BP1に対するIFを行い53BP1の核内発現を検出し、早期DNA損傷修復仲介因子53BP1の核内発現様式を核内ドット状集積、核内びまん性集積に分類する。 パラフィン切片から浸潤癌部、表層拡大進展部をマイロダイセクションし、DNA抽出を行い、PCR増幅し、電気得移動でPCR産物を確認後、精製しサイクルシークエンス反応させ、反応産物を精製してシークエンス解析を行う。p53(hot spotであるexon5-8)の遺伝子変異、53BP1(hot spotであるexon21&22)の遺伝子変異を検索し、53BP1不活化(DNA損傷部に53BP1が共局在しない)の原因がp53遺伝子変異によるものか53BP1自体の遺伝子変異によるものかを解明する。対象例のDNA損傷、DNA損傷修復機構およびp53(exon5-8)の遺伝子変異、53BP1(hot spotであるexon21&22)の遺伝子変異に関する病理学および分子生物学的データはすべて揃うことになる。 胆管癌の浸潤癌部および表層拡大進展部におけるDNA損傷修復機構、p53遺伝子変異、53BP1遺伝子変異から表層拡大進展の形成機序を解明する。また、p53遺伝子変異と53BP1遺伝子変異の解析結果からDNA損傷修復機構の破綻する原因が、どの段階から生じているか解明する。DNA損傷修復機構、p53遺伝子変異、53BP1遺伝子変異から胆管癌における表層拡大進展の形成機序を解明し、DNA損傷修復機構の破綻する原因が、どの段階から生じているのか結論を出し、英文論文を執筆してoncology関係の雑誌に投稿する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
パラフィン切片から浸潤癌部、表層拡大進展部をマイロダイセクションし、DNA抽出を行い、PCR増幅し、電気得移動でPCR産物を確認後、精製しサイクルシークエンス反応させ、反応産物を精製してシークエンス解析を行う。p53(hot spotであるexon5-8)の遺伝子変異、53BP1(hot spotであるexon21&22)の遺伝子変異を検索し、53BP1不活化(DNA損傷部に53BP1が共局在しない)の原因がp53遺伝子変異によるものか53BP1自体の遺伝子変異によるものかを解明する研究を行うため、PCR/シークエンスを実行することに研究費を重点的に配分する。
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Research Products
(1 results)