2012 Fiscal Year Research-status Report
膵癌における新規治療抵抗性遺伝子の探索とその阻害剤による治療法の開発
Project/Area Number |
24592023
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
國料 俊男 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任講師 (60378023)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梛野 正人 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20237564)
横山 幸浩 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (80378091)
千賀 威 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (80419431)
板津 慶太 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (90534842)
清水 泰博 愛知県がんセンター(研究所), 分子腫瘍学部, 研究員 (40470166)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 膵癌 / 治療抵抗性遺伝子 |
Research Abstract |
膵癌組織の集積と保存:膵切除術施行された膵癌患者から正常膵組織と膵癌組織を収集した。膵癌組織よりEpCAMをラベルしたMicroBeadsと磁気カラムを用いて癌細胞の単離を行った。単離した癌細胞から Dead Cell removal Kit(Miltenyi Biotec)を用いて死細胞を除去し、生細胞のみを分離し保存した。 ヒト膵癌細胞株KLM1、Panc1、KP4に対して抗癌剤投与を行い、通常膵癌細胞株が生存できない抗癌剤の濃度においても生存可能な抗癌剤耐性膵癌細胞株を樹立した。MTTアッセイによる増殖能の検討で、樹立した抗癌剤耐性膵癌細胞株は抗癌剤投与下の環境においても通常の膵癌細胞株と同様の増殖能を有していた。 治療抵抗性遺伝子の臨床病理学的検討の先行実験として、術後化学療法を受けた大腸癌患者54例のパラフィン包埋癌組織より作成したcDNAを用いて、PCRアレイによる解析を行なった。REC(早期再発症例:1年以内)17例とNREC(早期再発しなかった症例)37例について抗癌剤耐性および代謝に関する84遺伝子について解析したが、REC とNRECで発現に有意差を示す遺伝子はなかった。CEAが正常値群(CEAが5未満の症例)と異常値群(CEA が5以上症例)に分けて同様に84遺伝子について解析した。CEAが異常値であった群においてNFKBIEとBCL2L1の亢進を認めた。 CEAの正常値群と異常値群でのRECとNRECについてカイ二乗検定により検討した。CEAの値とRECとNRECに関連はなく、RECとNRECでのCEAでの発現にも有意差がなかった。NFKBIEとBCL2L1は早期再発には直接関連していないと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
膵切除術施行された膵癌患者から正常膵組織と膵癌組織を収集し、網羅的遺伝子解析用のサンプルを保存した。抗癌剤投与下の環境においても通常の膵癌細胞株と同様の増殖能を有する抗癌剤耐性膵癌細胞株を樹立した。先行実験として術後化学療法を受けた大腸癌患者54例の治療抵抗性遺伝子の臨床病理学的検討を行い現在解析継続中である。膵癌組織における網羅的遺伝子解析がまだ不十分であり、予定よりやや遅れていると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
膵癌組織の集積と保存の継続:保存中の網羅的遺伝子解析用のサンプルを用いて網羅的遺伝子解析を行なう。網羅的遺伝子解析にて同定された特異的に発現亢進している遺伝子に関してreal time PCR、ウェスタンブロティングにより膵癌細胞株での発現を検討する。 新規治療抵抗性遺伝子の同定とその機能解析:新規治療抵抗性遺伝子をsiRNAで発現抑制した膵癌細胞株と抑制していない膵癌細胞株において、抗癌剤・阻害剤による遺伝子発現の差異を網羅的遺伝子解析にて検討する。また新規治療抵抗性遺伝子のシグナル伝達系を明らかにし、癌細胞における選択性、獲得性について検討する。同定した新規遺伝子を標的にしたsiRNAの膵癌細胞株への導入後、抗癌剤・阻害剤を投与し、増殖能、アポトーシス誘導能から治療抵抗性を明らかする。 新規治療抵抗性遺伝子の臨床病理学的検討:新規遺伝子の発現量と予後、悪性度等との関連を明らかにする 新規治療抵抗性遺伝子に対する阻害剤の開発:同定した新規遺伝子について相互マシンラーニング法によるスクリーニングを行う。相互マシンラーニング法はケミカルゲノミクス情報を用いた標的タンパクに対するin slicoスクリーニング法である。相互マシンラーニング法により候補化合物を選択し、膵癌細胞株を用いてその有効性を明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
新規治療抵抗性遺伝子を標的としたsiRNAの合成費 DNAアレイキットの購入費 試薬類の購入費
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